コーヒーは外食業界で特に収益性が高く、習慣性のある商品だ。しかし、至る所に店舗が存在するコーヒーチェーンになれた企業は少ない。ハワード・シュルツ氏がシアトルの小さなコーヒー小売業者を世界的な大企業に変貌させて以来(現在米国内に1万7000店弱を展開)、地域の人気店から全国的なブランドへの飛躍を成し遂げた企業はほとんどない。その事実は数字にも表れている。米国には数十の小規模チェーンと数千の独立系店舗があるにもかかわらず、売上高ベースではコーヒー市場の約85%をスターバックスとダンキンが依然として支配している(モルガン・スタンレー調べ)。この状況が変化する兆候がある。マクドナルドやタコベルなどのファストフード・チェーンに加え、全国展開を目指すコーヒーチェーンの波がスターバックスの優位性を切り崩している。この競争は、コーヒー市場の成長と、カフェイン入り飲料は収益性が非常に高いので無視できないという外食業界全体の認識を反映している。また、特にZ世代の嗜好(しこう)の変化も要因となっている。