日経平均は史上最高値を更新した。だが、物価の値上がりは深刻だ。さらに実質賃金は8か月連続で減少し続けている。人より儲けたいという人は多い。だが、その欲におぼれ、大切なものを見逃していることも多い。
いま、「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃のお金の戦術書」と絶賛されているのが、ニック・マジューリ著『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』だ。そしてついに、全世界待望の続編『THE WEALTH LADDER 富の階段──資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』が日本上陸。この世界的ベストセラーはお金の「戦書」だ。スコット・ギャロウェイ(『一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』著者)も絶賛する最新刊についてライターの照宮遼子氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

「爆速でボロ儲けしたい人」が実は気づかずに失っている最強資産・ワースト1Photo: Adobe Stock

お金で悪循環に陥る人たち

投資を始めて2年。
YouTubeで勉強して、投資を始めた。
節約も頑張って、月2万円ずつコツコツ積み立てている。

でも2年経っても、資産はまだ50万円ほどにしかなっていない。
SNSを見れば、20代で資産1000万円を達成した人の投稿が流れてくる。

自分は何か間違っているんじゃないか。
――そんな焦りが募ってくる。

結局、「これじゃダメだ」と思いながらも、次々手を出しては、また数年で見切りをつける。
気づけば10年経っても、資産はほとんど増えていない。

こんな悪循環に陥っている人は少なくない。

世界的ベストセラーの視点

世界的ベストセラー『THE WEALTH LADDER 富の階段』の著者ニック・マジューリはこう述べている。

データは資産を築くうえでの時間の重要性を証明している。
この事実は富の階段を登ろうとするときに見落とされがちだが、必ず理解しておくべきだ。

――『THE WEALTH LADDER 富の階段』(P.284)より

資産形成で最も見落とされがちなのが、「時間」という要素だ。
本書によると、アメリカのミリオネア、つまり資産100万ドル以上の富裕層の中心年齢は62歳だという。

20代でミリオネアに到達する世帯はわずか1%。
30代でも5%程度にすぎない。

つまり、若くして富を築くのは例外中の例外で、
大半の人は長い時間をかけて資産を積み上げているのだ。

「いつも焦っている人」が
資産形成できない理由

実際、10年間で資産レベルが変わらない世帯がほとんどだという。
それでも多くの世帯は、レベルは変わらなくても着実に資産額そのものは増やしている。
時間をかければ、少しずつでも確実に前に進めるのだ。

本書を読んで気づいたのは、富を築く道のりは短距離走ではなく、
登山に近いということだ。

頂上を目指して一気に駆け上がろうとすれば、すぐに息切れする。
でも、一歩ずつ着実に登っていけば、景色は少しずつ変わっていく

大切なのは、今すぐ結果を出すことではなく、
時間とともに歩き続ける覚悟を持つこと。

数年で数十万円しか増えていなくても、それは失敗ではない。
むしろ、着実に前進している証拠だ。

本書が教えてくれるのは、富を築く速さではなく、その道のりをどう楽しむかという視点だ。

焦らず、自分のペースで、一段ずつ登っていく。
その積み重ねこそが、確実に「富」へとつながっていく。

数年であきらめるのではなく、10年後、20年後の自分を信じて、一歩を踏み出してみよう。
焦らず歩いた時間こそが、最大の資産になるだろう。

(本稿は、『THE WEALTH LADDER 富の階段』に関する特別投稿です。)