寂しさを埋めようと人に混ざるほど、なぜか心が荒む――そんな経験はありませんか。雑なつながりに頼る前に、自分の内面をどう守るか。他人と適切な距離を保ち、どのような孤独なら健やかにすごせるのでしょうか。
IVEチャン・ウォニョン氏や俳優ハ・ソクジン氏の愛読書と話題となり、韓国で262刷、60万部を超え、「哲学ブーム」の火付け役となった書籍『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに解説します。

人間のあらゆる不幸は、ひとりではいられないことから始まる。

つまらぬ相手で孤独をまぎらわすな

人間のあらゆる不幸は、
ひとりではいられないことから始まる。

――『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』より

心が寒いと感じるとき、私たちは他人の温もりにすがりたくなる。

その渇きが強いほど、よく似た欠乏を抱えた人同士で集まり、その場限りの高揚を回し飲みしがちだ。

最初はにぎやかで楽しく見えても、やがて習慣が荒れ、暮らしが鈍っていく。

社交への強い欲は、しばしば「いま満たされていない」という裏返しにすぎない。

他人との付き合いで得られるものは、気分転換にはなるが、幸福の本質そのものではない。

もし、不道徳で愚かで不合理な行動を当然とする集まりに身を置けば、危険と損失は増える。

火に近づけば火傷を負う。

あえて関わらない選択は、逃避ではなく自衛だ。

いっぽう、内側が温かい人は、ひとりの時間を自然に好む。

誰かを傷つけず、誰かに傷つけられず、静かに整える余白をもつ。

孤独は世界を拒むことではない。

他人の機嫌に自分の体温を左右されないための距離である。

ひとりでいられる力がつくと、関係は選べるようになる。

必要な縁を大切にし、害のある縁を静かに遠ざけることができる。

まず自分の内側を温める。

短い沈黙に身を置き、考えを一つ言葉にし、今日の一歩を自分で決める。

そこから始まる落ち着きが、他人に寄りかからない幸福の土台になる。

(本記事は『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに作成しました)