結婚後、家事・お金・時間の分担や、ちょっとした言い方で傷つき、恋愛のときにあった熱が冷めた気がする――そんな悩みはありませんか。理想的な結婚生活ではなく、より現実的に結婚生活を営む方法を考える必要があります。
IVEチャン・ウォニョン氏や俳優ハ・ソクジン氏の愛読書と話題となり、韓国で262刷、60万部を超え、「哲学ブーム」の火付け役となった書籍『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに解説します。

理想的な結婚生活などありえない
結婚とは、
理解できない行為の繰り返しである。
――『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』より
いまや結婚は義務ではなく、選べる生き方の一つになった。
多くの人が、結婚後に起こりうる摩擦や負担を事前に知っている。
それでも恋愛の最中は、相手のことを理想的な相手だと思い込む。そして、一緒に暮らし始めてから別人のように見えて驚く。
恋愛の情熱が灰になったと感じる瞬間もある。
ショーペンハウアーは、その背景に「愛は種族保存のための自然の欺瞞」という見方を置く。
利己的で打算的な人間を結びつけるため、自然は強い魅力を心に埋め込み、それが相手に対する判断を短絡的にさせているという指摘だ。
結婚した人が「自然にうまく乗せられた」と気づき、現実の重さに後悔することがあるのも、その延長線上にある。
では、結婚をしたら、どうすればいいのだろうか。
「理解できないことが多い」という前提で、お互いの扱い方を学ぶのが現実的だ。
わからなさを減らすには、大きな理想より小さな確認が役に立つ。
何を期待し、どこまでできるかを冷静に言い合う。
家事やお金や時間の分担は、何となくで決めず、お互いに案を試しては見直す。
疲れている日は、無理をせず「続きは明日」にする。
謝るべきことは早く謝り、感謝はその場で言う。
この二つが回り始めれば、相手のことが理解できなくなっても、関係は崩れにくい。
また、結婚してもひとりの時間は距離を置くためではなく、落ち着いて向き合うために必要だ。
自分の機嫌を自分で整えられると、相手の言い方を不必要に攻撃と受け取らずに済む。
先を読む人は、結婚を選ばない場合もあるだろう。
その判断もまた、一つの合理的な選択だ。
一方で、結婚を選ぶなら、自然の計略を知ったうえで、生活の設計を補正する。
「お互いの完全な理解」を目標にせず、「わからないまま続ける技術」を共有する。
その技術は、小さな説明と小さな約束と小さな修正の積み重ねから育つ。
それが、結婚を幻想でも悲観でもなく、具体的な営みとして続けるための作法である
(本記事は『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに作成しました)









