自分が金持ちだったら、こんな小さな出費は気にしないのに――。そう思った瞬間こそ、あなたは“金持ちになれない思考”にハマっている。世界的話題作『アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』が教えるのは、資産を増やす以前に「お金の使い方」を見直すことの重要性だ。今回は、本書から、散髪代を支払うのさえためらったという世界的な資産家の驚くべきエピソードとともに、その真理を紐解く。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「一生金持ちになれない人」がやっているNG習慣ワースト1Photo: Adobe Stock

「小さな支出」を軽視する人は、一生金持ちになれない

私たちは、日々の生活のなかで小さな出費を積み重ねている。仕事帰り、ついコンビニで1000~2000円を気軽に使ってしまうことも少なくない。

物価高の今、レジに行って「こんなに高いの!?」と驚くこともよくある。そのたびにこう思う。

「自分がお金持ちだったら、こんな小さな支出は気にせずに過ごしていけるのにな~」と。

しかし、実際はその逆だ。本当の金持ちほど、小さな支出を気にしているのだ。『アート・オブ・スペンディングマネー』には、次のような、世界的に有名な投資家ウォーレン・バフェットのエピソードが紹介されている。

 ウォーレン・バフェットは若い頃から複利に取り憑かれていて、現在の出費を、その額を投資して増やした場合の将来価値と比べていた。彼の計算では、散髪に3万ドルもかかる。もし今日支払う散髪代を投資して複利で増やした場合、数十年後には3万ドルになっているという意味だ。高価なスーツの将来価値は、数百万ドルにもなる。この論理に従えば、洗車は割に合わなくなる。車の汚れを落とすのに、数万ドルも支払うことになるからだ。

「50万ドルを、そんなことのために使っていいのだろうか」
 バフェットはよく友人にそう話しながら、少額の支出をためらったという。

――『アート・オブ・スペンディングマネー』より

バフェットほどの資産家が、散髪代を支払うことすらためらっていたというのは驚きである。

このエピソードを逆にとらえれば、「小さな支出を気にしていない人ほど、金持ちになれない」ということだ。大きな買い物には慎重になる人も多いが、小さな支出を軽視する人ほど、金持ちへの道は遠のく。

小さな支出は、素早く蓄積され、莫大な損失を招く

『アート・オブ・スペンディングマネー』では、次のような一文も紹介されている。

 小さな出費がどれだけ早く蓄積され、利益の莫大な損失につながるかを理解すれば、世界の見方は変わる。長期的に資産を築くには、大きくて素晴らしい決断よりも、小さいが着実な決断の積み重ねのほうが重要だと気づくはずだ。
――『アート・オブ・スペンディングマネー』より

私たちは、「お金の増やし方、貯め方」にばかり目を向けがちだ。しかし、お金を増やすためには「使い方」にこそ目を向ける必要があるのかもしれない。

(本原稿は、『アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』(モーガン・ハウセル著・児島修訳)に関連した書き下ろし記事です)