多くの人は「何を買うか」で幸福を測ろうとする。だが、本当にお金の使い方がうまい人は、むしろ「何を買わないか」を知っている。彼らは節約家ではなく、満足や納得感の源泉を理解した“消費の達人”だ。世界的話題作『アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』は、「お金の使い方」を最適化するためのマインドを解き明かした一冊だ。今回は、本書の内容をもとに、「何を買わないか」を見極める方法について迫る。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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自分が「お金を費やすべき対象」を理解する方法
お金の使い方がうまい人は、「何を買うか」だけでなく「何を買わないか」にもこだわる傾向がある。ただ節約をしているわけではない。彼らはお金を、より深い満足や納得感につながるものに使おうとしている。
では、自分が「何を買うべきか」そして「何を買わないか」をどう見極めていけばいいのだろうか。『アート・オブ・スペンディングマネー』で、著者モーガン・ハウセルは次のような提案をしている。
食事、旅行、服、スポーツイベント、体験など、何でもいいので、新しいことにお金を使ってみよう。ただし、もしそれによって喜びを感じられないのなら、すぐにやめること。面白くないと思った本を、途中で読むのをやめるのと同じだ。
これを十分に繰り返していくと、消去法で、自分がお金を使うにふさわしい何かが見つかる。
――『アート・オブ・スペンディングマネー』より
こうしてさまざまな「新しいお金の使い方」を試すことで、自分にとってより満足度の高いこと、低いことが見えてくる。結果として、満足度の低いものを切り捨て、高いものにお金を費やせるようになり、人生が豊かになる。
さらにハウセルは、「あれやこれやにお金を使ってみた。だけど自分には合わなかった、と言える経験が増えるほど、あなたは自分が正しい道を歩んでいると確信できる」とも伝えている。
お金の使い方がうまい人は、試行錯誤を通じて「自分にとって価値ある消費とは何か」という答えを手に入れ、その経験を通じて、「買わないモノ」の基準も自然と明確になっているのだ。彼らは、さまざまなお金の使い方を試した結果、自分にとって満足度の低いモノはバッサリ切り捨て、絶対に買わないのである。
最近買ったけれど、気持ちが満たされなかったものはないだろうか? ずっと続けているけれど実は満足度が低いものはないだろうか? それらを排除し、より自分にとって満足度の高いものにお金を費やす――それが人生を豊かにするための大きな手がかりになるのかもしれない。
(本原稿は、『アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』(モーガン・ハウセル著・児島修訳)に関連した書き下ろし記事です)





