対象者は、高フラバノールココア(150mgの(−)-エピカテキン)と低フラバノールココア(6mg未満の(−)-エピカテキン)をそれぞれ別日に摂取した後、座位で2時間過ごす試験を受けた。(−)-エピカテキンは、エピカテキンを構成する2種類の光学異性体の1つで、天然に多く存在する。

 その結果、対象者の体力レベルに関わりなく、座位になることで浅大腿動脈(SFA)と上腕動脈(BA)の血流依存性血管拡張反応(FMD)が有意に低下し、血管内皮機能が悪化することが示された。また、拡張期血圧の上昇、血流量およびせん断応力の低下、筋組織の酸素化の低下も認められた。

 これに対し、高フラバノールを摂取した場合には、体力レベルに関わりなく、SFAとBAのFMD低下が抑えられた。血流量、せん断応力、拡張期血圧、筋組織の酸素化への影響は認められなかった。低フラバノールを摂取した場合には、このような血管内皮機能低下に対する抑制効果は認められなかった。

血管の弾力性が、座位行動を行う前と
同じレベルに保たれていた

 この結果から研究グループは、「体力レベルの高さが座位行動による血管への悪影響を打ち消してくれるわけではないことを示唆している」と述べている。

 共著者の一人であるバーミンガム大学脳血管・運動・実験生理学分野のSamuel Lucas氏は、「重要なのは、高フラバノール飲料を飲んだ後に、体力レベルに関わりなく、全ての対象者の血管の弾力性が、座位行動を行う前と同じレベルに保たれていたことだ」とニュースリリースの中で語っている。

 研究グループは、「これは、フラバノールが座位行動による血管障害を予防する可能性があり、この予防効果は体力とは無関係であることを示す初の研究結果だ」と述べている。

 論文の筆頭著者であるバーミンガム大学のAlessio Daniele氏は、「フラバノールを多く含む食品を食事に取り入れるのは、実はとても簡単だ。スーパーや健康食品店では、フラバノール含有量を維持する方法で加工されたココア製品が販売されているし、ココアが苦手なら、リンゴ、プラム、ベリー類などの果物、ナッツ類、紅茶や緑茶などの定番の食材からでも簡単に摂取できる」と話している。(HealthDay News 2025年10月30日)

https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/sitting-for-long-periods-sip-cocoa-or-munch-berries-to-protect-heart-health-experts-say

Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.