Photo:The Washington Post/gettyimages
米政府がサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子のことを「パーリア(のけ者)」扱いしていたのは、遠い昔のことではない。当時米大統領だったジョー・バイデン氏は、原油相場や外交に関して皇太子の助けが必要となった途端に、そうした内容の発言について後悔した。バイデン氏とは対照的にドナルド・トランプ大統領は、米国とサウジの2国間関係の重要性について改めて思い出す必要はない。トランプ氏が18日にホワイトハウスで示した皇太子との親密な関係から浮かび上がった問題は、逆方向への行き過ぎによって米側が損をしたのではないかというものだ。
トランプ氏は、自動署名機によるバイデン氏のサインの写真を訪米中のムハンマド皇太子に示した後、失礼な質問をした米ABCニュースは放送免許を取り消されるべきだと語った。こうした対応は、民主主義の価値観を広めるものとはとても思えない。皇太子は、今回の訪米で具体的に何を得るべきなのかを知っていた。そして彼は、その多くをサウジに持ち帰るだろう。
F35ステルス戦闘機はどうだろうか。トランプ氏は「われわれはF35を売却する。以上だ」と語った。両国は、サウジが攻撃を受けた場合に米国がサウジを防衛することで合意するのだろうか。その質問にトランプ氏は「ほぼ合意している」と答えた。
いずれの問題についても熟慮が必要だった。サウジは10月に中国と軍事演習を行ったばかりだ。そしてスパイ行為を受けやすい。サウジは中国との関係を変えるつもりがあるのか。これは主張すべき公正な要求だ。トランプ氏が2020年にアラブ首長国連邦(UAE)へのF35売却を図った際も、同様の懸念があったために実現しなかった。







