高市早苗首相と習近平国家主席高市早苗首相の台湾有事に関する国会答弁によって日中関係は悪化している Photo:JIJI

「台湾有事での集団的自衛権行使に賛成48%」――。共同通信の世論調査に対し、「戦争を煽るな」とネット上で批判が殺到している。なぜマスコミは、日中関係の緊張を高めるような“勇ましい”報道を繰り返すのか? 実はその背景には、戦前の歴史も証明する、メディア業界にとっての「禁断の果実」と呼ぶべき衝撃の理由が存在した。大衆を熱狂させ、国を誤った方向へ導きかねない、報道の裏にある“ある構造”を暴く。(ノンフィクションライター 窪田順生)

台湾有事でマスコミが
手を出した「禁断の果実」

「お前らが戦争を煽ってどうすんだよ」「そうやって国民の足を引っ張ることばかりやるから“マスゴミ”と呼ばれるんだよ」

 日中の緊張が日増しに高まるなか、マスコミ各社が報じる「集団自衛権行使に賛成○%」報道が叩かれている。

 代表的なものが11月16日、共同通信が「速報」と銘打って配信した「台湾有事での集団的自衛権行使に賛成48%」というニュースだ。

 同社の世論調査で「台湾有事」が起きた際に、集団的自衛権を行使するかの賛否を聞いたところ「賛成」と「どちらかと言えば賛成」を合わせて48.8%となり「反対」の44.2%を上回ったというのである。

 これにネットやSNSでカチンときた人が続出し、「そんな単純な問題じゃない」「質問が雑すぎる」「集団自衛権を行使したらどうなるか深く考えずに答えている人もいるだろ」といった批判が殺到。日中関係をさらに悪化させていくのではと懸念の声も少なくない。

 このような騒動を聞くと「マスコミって普段は偉そうな御託を並べているくせに、なんでこんなバカなことをしちゃうの?」と首を傾げる人も多いだろう。

 マスコミ側の言い分としては、「こういう世論が高まっているという事実を国民に伝えただけ」ということなのだが、これはあくまで「建前」に過ぎず、彼ら自身も気づいていない深い事情がある。