問題の発言があった10月7日の記者会見の様子 Photo:JIJI時事通信社カメラマンによる問題発言があった10月7日の記者会見の様子 Photo:JIJI

「支持率下げてやる」。時事通信カメラマンの発言で、マスコミへの不信感が爆発しています。なぜ「中立公正」のはずの彼らが、特定の政治思想に染まり世論を動かそうとするのか?実は、業界には「人間性は素晴らしいマジメな人」が多いと筆者は指摘します。では、なぜそんな「いい人」たちが、時に国民の反感を買うようなイタい行動に出てしまうのか。その根深い構造の正体に迫ります。(ノンフィクションライター 窪田順生)

支持率下げてやる
報道現場の本音

「こいつら本当に性根が腐っているな」
「とっくにネットやSNSに負けているのに、まだ自分たちが世論を動かしていると勘違いしていてイタい」

「マスゴミ」と叩かれるようになって久しいマスコミが、ここにきてネットやSNSでさらにボロカスに叩かれている。

 きっかけは10月7日、自民党本部内で高市早苗・自民党総裁の取材待ちをしているマスコミの姿がライブ映像に映っていたのだが、そこで時事通信社のカメラマンのこんな声が流れたことだ。

「支持率下げてやる」「支持率下げる写真しか出さないぞ」

 時事通信といえばOBで政治評論家の田崎史郎氏が、総裁選前に「小泉大勝」に太鼓判を押していたこともあって、「左翼マスゴミが必死に高市サゲをしている」などとメディア不信に拍車がかかっているのだ。

 このような話を聞くと「カメラマンがたった1人、暴言吐いただけでここまで叩かれて気の毒に」とマスコミを擁護する人もいらっしゃるだろうが、実際に報道現場で働いていた立場で言わせていただくと「たった1人」ではない。この世界、時事カメラマン氏のような人は決して珍しくないのだ。

 現場で政治家に取材した帰りに「あの人、話している内容ペラペラだったな」などと悪口で盛り上がったり、同僚や後輩に「あいつが総理になるのだけは絶対に阻止すべきだ」などと熱っぽく訴えたりする人たちを、筆者は山ほど見てきた。

 その中でも「これはさすがにひどい」とドン引きしたのは、第2次安倍内閣が発足したときだ。