ロバート・ウッドラフは生まれながらのコカ・コーラ帝国の継承者だ。その父は1919年、2500万ドルを投じてキャンドラー家が持っていたコカ・コーラ株の買い占めを推進した人物だった。しかし仕事を始めたとき、毛並みのよさの恩恵にはまったくあずからなかった。
ロバート・ウッドラフがコカ・コーラ以外で仕事を見つけようとすると、ことあるごとに父親が邪魔をしようとした。いったんは首尾よく自分の思い通りホワイトモーター社の販売担当者になったものの、1923年、結局は負けてしまいコカ・コーラに入社する。
それから正式に引退するまでの約40年間、同社の経営にあたった。言い換えれば、コカ・コーラがグローバル企業に発展を遂げる驚異的な成長期に、ずっと同社の経営者だったことになる。世界で最も価値のあるブランドを育て上げたという功績を残し、1985年に他界した。
成功への階段
ウッドラフは1889年12月6日、ジョージア州コロンバスで生まれた。父のアーネスト・ウッドラフはジョージア信託会社の社長で、コカ・コーラ社を買収した投資家グループの一員だった。その父がコカ・コーラの社長に就任した。
その教育の第1段階で、ウッドラフはジョージア陸軍士官学校に入学させられた。成績はよくなかったが、学校当局はその不成績を大目に見ていた節がある。というのは、若いウッドラフが同校を破産の淵から救ったからだ。アトランタナショナル銀行が学校に対する抵当権を行使しようとしているのに気づいたウッドラフは、銀行の副社長を訪ね、脅しや有名人の名をちらつかせるといったさまざまな手を使って、その行使を思い止まらせている。