「今日も仕事が、終わらなかった…!!」
毎日「また終わらなかった…」を繰り返して、うんざりしたり、落ち込んだりしていないだろうか。「量が多すぎて残業ばかり」「要領が悪い」「やりたいことができない」など、悩みは根深いのではないだろうか。
「その原因は3つの“隠れたムダ”です」ータスク管理オタクで、ダンドリ磨いて30年超のエキスパート・萩原雅裕さんはこう語る。今回は書籍『「今日も仕事が終わらなかった」はなぜ起きるのか? 仕事が3倍速くなる計画・実行・中断の技術』の中から、「仕事が終わらせる人のコツ」を紹介する。

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「どこまでやったか忘れた」は重大な、“隠れたムダ”

 こんな場面を想像してみてください。

 今日は金曜日、あなたは素晴らしいアイデアを思いつきました。「これでカンペキだ!」と確信して、気分よく退社。友人との夕食を楽しみ、月曜日を迎えます。
 ところが翌週、出社してパソコンを開いたところで、固まります。
「あれ、何を思いついてたんだっけ……?」
 あなたの頭の中には、もう先週のアイデアは残っていません。そうしてモヤモヤしながら、思い出せなくなった素晴らしいアイデアを思い出すのに、時間と労力を取られてしまった……。

 このような仕事の仕方をしていては、仕事が遅くなるのもうなずけます。

 この状況を別の言い方で表現すると「せっかく仕事が進んでいたのに、逆戻りさせられている」が近いでしょう。ちゃんと作業を進めたのに、そのたびに何をやったか忘れてしまっているわけです。前回進めたところではなく、少し戻ったところから再開するわけですから、まさに3歩進んで2歩下がる状態です。

中断すると手戻りならぬ「アタマ戻り」する

 では、仕事が速い人は何をしているのか。

 その正体は、一度やったことを忘れない=「中断の技術」です。それは「翌日以降の自分」がスムーズに動けるような準備=「中断中」のための備えをしているのです。

 多くの人は作業の「手戻り」には気をつけますが、思考の「アタマ戻り」を見過ごしています。
「手戻り」とは、「作業を進めたが、何らかの理由でその作業の成果物が使えず、もう一度同じ作業をやり直すこと」を指します。この「手戻り」は作業のやり直しなので目に見えやすく、誰もがムダだと感じるでしょう。
 一方で、「アタマ戻り」は「一度考えたことを忘れてしまい、また考え直すこと」を指します。「アタマ戻り」は目に見えないため、そのムダに気づきにくいのです。

「中断」するときに「保存」すればアタマ戻りしない

 では、時間が経つと忘れてしまうなら、どうすればよいか。

 答えはシンプル。中断するタイミングで「保存」すればよいのです。

 具体的には「引き継ぎ書」を書くです。未来の自分宛てに引き継ぎ書を書くのです。引き継ぎ書と言っても、これはただのTodoリストではありません。「未来の自分が作業を再開するときに思い出すための引き継ぎメモ」です。Todoリストを書くと「次に何をすればいいか」は思い出せますが、その時に持っていたアイデア・違和感など、磨かれた思考の断片は消えてしまいます。それでは、せっかく進んだ仕事をもう一度やり直さなければなりません。

 だからこそ「引き継ぎ書」。未来の自分がスムーズに動けるよう、過去の自分の思考を引き継ぐのです。これにより、仕事がグンと速く進むようになります。

(本記事は『「今日も仕事が終わらなかった」はなぜ起きるのか? 仕事が3倍速くなる計画・実行・中断の技術』に編集・調整し、一部特別に書き下ろした原稿です)