「スパゲッティをゆでる時は沸騰したお湯に小さじ1の塩を入れて……」レシピでよく見るその工程、どんな意味があるのか?写真はイメージです Photo:PIXTA

コメ価格が高騰している昨今、麺類を食べる機会が増えたという人も多いのではないだろうか。そこで気になるのが、パスタやうどんをゆでる時に、お湯に「食塩を入れる」という工程。麺に塩味がつくわけではないのに、どんな意味があるのか。意外と知らない、身近な食物の疑問に答える。※本稿は、日本作物学会編『農作物のひみつ』(化学同人刊)収録の「スパゲッティをゆでるとき、塩を入れるのはなぜ?」「生ラーメンの表面の白い粉はなに?」「お酒用のコメを食べたらおいしい?」を一部編集したものです。

スパゲッティをゆでるときに
塩を入れるのはなぜ?

 スパゲッティをゆでるとき、塩を入れるのはなぜでしょうか?ふつう、水1リットルを沸騰させ、食塩約10g(約1%)を加えてから、スパゲッティ100gを鍋に入れるとよいとされています。こうすることでスパゲッティに塩味がしみ込み、まろやかな味わいになります。つまり、ゆでるときに塩を入れるのは、スパゲッティに下味付けをするためです。

 また、塩を加えると、ゆでてアルデンテ(スパゲッティの中心部に白い芯が残ること)の状態にしやすく、コシが強くなると言われています。下図は、塩分濃度が0.5%と2%の水でゆでて、歯ごたえを比較した実験結果です。塩分0%や0.5%では歯ごたえに影響はなく、塩分2%で歯ごたえが増す結果となりました。塩辛くなるほど大量に入れるわけにはいきませんが、少量だと影響は少ないと言えるでしょう。

図表:ゆで汁の塩分濃度と降伏応力(歯ごたえ)の関係山田昌治『麺の科学』講談社(2019)を元に作成 拡大画像表示

 スパゲッティと同じ小麦粉を材料にして作るうどんは、どうでしょうか?