一般に、デンプンの粒が大きくなると、ザラザラした口当たりになるので、餅とり粉のように直接口にする場合は注意が必要です。つまり、食品本体とのバランスが重要なのです。
そのまま食べる用のお米と
お酒をつくる用のお米の違いって?
ふだん私たちが食べている「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」などは食用の品種です。一方、日本酒を造るときには、食用とは異なる品種からとれたコメを使います。日本酒を造るのに適した米を「酒米」(酒造好適米)と言い、代表的な酒米用品種に「山田錦」や「五百万石」などがあります。では、食用米と酒米の違いは何でしょう?
食用米の米粒はふつう半透明です。一方、酒米のおもな特徴として、米粒の中心部分が白く濁っていることがあります。これを「心白」(しんぱく)と言い、中心部につまっているデンプンの内部に空伱(くうげき)があるため、光が乱反射して白く見えるのです。
心白には空伱があるため、麴(こうじ)菌がデンプンを利用して「発酵」(はっこう)しやすくなり、酒造りに適しています。
『農作物のひみつ』(日本作物学会、化学同人)
また、食用でも酒造用でも玄米の外側の部分を削り落として使いますが、食用米の場合は外側の糠(ぬか)の部分だけを削り落とすのに対して、酒米の場合はさらに削り、ほぼ心白の部分だけを使います。この「ほぼ心白」米のみを使って炊飯してみると、炊き上がったご飯はパサパサでおいしくありません。
それでは、酒米を食用米と同じように糠を削り落とすだけにして、炊飯したらどうでしょう?そんなにまずくはないようですが、コシヒカリなどの食用米にはかなわないでしょう。逆に、コシヒカリなどの食用米でもお酒はできますが、酒米で造ったお酒ほどおいしくはならないでしょう。
ちなみに「みりん」もコメから造られるお酒ですが、酒米ではなく「もち米」が用いられます。また、コメから造られるお酒は朝鮮半島、中国、東南アジア、南アジアにもありますが、いずれも、もち米が用いられる場合が多いようです。
ふつう食用米は炊いて食べます。一方、酒米は蒸して使います。使い方も違っているのです。







