うどんの場合、スパゲッティとは異なり、小麦粉にあらかじめ食塩を加えて作られています。そのため、ゆでるときに、ゆで湯に食塩を加えないと、うどんの中に水が入り込みやすくなり、やわらかいうどんになることがあります。これは、塩分の濃い部分に水が移動する作用(浸透圧の差)によるものです。
ですから、塩を入れてゆでる必要性は、スパゲッティよりもうどんのほうが大きいと言えます。なお、うどんの種類によっては塩を加える必要のないものもあります。
スパゲッティ、うどんのどちらも、麵としての好ましい味や食感には個人差があります。塩を入れないでゆでても、よい味や食感が得られると言う人も少なくありません。スパゲッティのおいしさは、ゆで方で大きく変わります。食べる人の好みに応じて、ゆで加減と加える塩の量を調節するとよいでしょう。
イタリアでは、麵の太さが1.9~2.0mmのものをスパゲッティとよび、それ以外の太さのものには別のよび名があります。非常に細いカペッリーニ(太さ1.3mm以下)は、冷製パスタとして日本でも人気があります。
生ラーメンの表面に
ついている白い粉の正体
ラーメンやうどんなどの生麵の表面についている白い粉は「打ち粉」と言い、デンプンが主成分です。これは、麵どうしがくっついて固まりになるのを防ぐ役割があります。同じような目的で、個別に包装されていない柔らかな餅の場合は、「餅とり粉」が使われます。
以前は、打ち粉や餅とり粉には、麵や餅の原料、すなわち小麦粉や米粉が使われていました。しかし、生麵や柔らかい餅は水分が多く腐敗しやすいため、付着する菌が少なく経済的なものが必要です。また、デンプンの粒子サイズが30~50μmと大小あり、楕円体や紡錘体をしていることから麵に付着しづらく、流動性がよいなど、工場で取り扱いやすいものが求められます。
また、ラーメンやうどんをゆでた汁に、打ち粉が溶けると、ゆでた汁の粘性が高くなり、麵への熱の伝わり方が変わって調理しにくくなります。そのため、流動性がよく粘度が低いデンプンが必要です。
このような性質をもったものが、ラーメンやうどんなどの生麵の表面についているのです。それが、「サゴヤシ」から採れたデンプンです。
「サゴヤシ」はインドネシア、マレーシア、パプアニューギニアなどで自然に生育したり栽培されたりするヤシ科の植物です。幹の長さが10mぐらいになり、その幹の中にたくさんのデンプンがたまります。これを利用します。
蕎麦(そば)にも、サゴヤシのデンプンが使われます。ただし蕎麦では、ゆでた汁を「蕎麦湯」(そばゆ)としても利用します。その場合、蕎麦を製麵する際に使う打ち粉は、ソバ製粉時に最初に出てくる、粒子が粗く低タンパク質の「更科粉」(さらしなこ)や「花粉」(はなこ)が多く用いられるようです。







