米国の敵対国は、ドナルド・トランプ米大統領の「ディール(取引)」締結への熱意を、米国とその同盟国の間に亀裂を生じさせる好機として利用している。自分たちを長年抑止してきた米主導の安全保障秩序を弱体化するためだ。欧州では、ロシアの戦略的目標の多くに合致する和平案を取りまとめることでウクライナでの戦争を停止させ、ロシアとビジネス上の取引を成立させたいというトランプ氏の願望を、ロシアが利用しようとしている。ロシアの戦略的目標は、ウクライナの領土のかなりの部分を勝ち取ることや、ウクライナが望む北大西洋条約機構(NATO)加盟への道を閉ざすことなどだ。アジアでは中国の指導者・習近平国家主席が、トランプ氏の重要な目標である包括的な米中通商合意と引き換えに、台湾を見捨てる方向へトランプ氏を誘導しようと試みている。中国は自治の島である台湾を自国領土だと主張し、武力による奪取を排除していない。
トランプ氏のディール願望、中ロには戦略的好機
米同盟国の分断狙う
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