社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を紹介します。

将来の「目標」を立てられない人が「充実した人生」を送る方法とは?Photo: Adobe Stock

30年後の理想像、思い描けますか?

ビジネス書でよく見かける質問があります。

30年後の理想像は何ですか? そこから逆算して行動計画を立てましょう

私にはこれができませんでした。30年後も笑顔で日々を送れていれば、それで満足です。趣味の野球観戦ができたら嬉しいですが、友人との会話でも、空を眺めるだけでも、幸せは感じられるのです。
どんな状況でも人生を味わう心があれば十分だと思うと、明確なゴール設定ができないのです。
本に書かれている通りに30年後の理想像を書くことができない自分を、情けなく感じていました。

実は、ずっと感じていた違和感

この感覚は、子供時代から続いていたことに気づきました。
「大きくなったら何になりたい?」と聞かれるたび、答えに詰まっていました。望みはあります。

家族で食卓を囲むこと、未知の場所を訪れること。

ただ、それらは職業を限定しなくても実現できるものでした。
帰宅時間が早ければ職種は問わない。そう考える子供だったのです。

目標がなかった日々に、価値はなかったのか

しかしある日、気づいたのです。
明確な将来設計を一度も描けたことがなくても、毎日は楽しく充実するし、毎年予期していなかった興味深い体験が何より楽しいのです。

計画を達成する喜びより、偶然の出会いがもたらす新鮮さの方が、私には価値があるようです。

もし「明確な目標が持てない」と苦しんでいるなら、これまでの道のりを振り返ってみてください。

計画なしで過ごした時間にも、心が動いた瞬間は確実にあったはずです。それがあれば十分。あなたは独自の方法で、人生を豊かに歩んでいます。

*本記事は、『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)の著者しずかみちこさんによる書き下ろしです。