社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

「強みの種」は1つではない
誰でも強みの種を複数持っています。
そして、意識せずとも、必要に応じて、組み合わせて使っています。
場所や状況が変わると、使う強みの種が変わるので、現れる行動も変わってきます。
自分がどんな強みの種を持っているかがわからないと、どう使えばいいのか応用の仕方もわかりません。
ですから、まずは本書でお伝えしているように、毎日を過ごす中で自分の状態を観察し、集まってきたメモを見ながら、強みの種かな?と思われるものをできる限り多く探していきます。
「強み」を活かした行動は「エネルギーが湧く」こと
強みの種は、次のような「行動パターン」として現れることもあります。
・やるなと言われてもやってしまう行動
・やると力が湧いてくる行動
・上手くいかなくてももう一度挑戦したくなる行動
・たいしたことをしていないのに人に喜ばれる行動
強みが発揮されている行動に特徴的なのは「エネルギー」が湧いてくること。
例えば、会社員のCさんは、人前で話すとき、よく噛んだり、とちったりしてしまいますが、それを全く気にしていません。
むしろ「次はもっと上手く話せるようになりたい!」とワクワクして、家で発声練習までしています。
一方、別の会社員Dさんは人前で話すことが上手く、そういう役割になることも多いそう。
確かに内容もわかりやすく、聴衆からの評価も上々です。
しかし、Dさんは毎回大きく消耗し、人前で話した日は帰宅後ぐったりしてしまうといいます。
CさんもDさんも人前で話すことは、人並み以上にできます。
しかし、Cさんはエネルギーが湧いてきて、Dさんは消耗します。
この場合、Cさんにとって人前で話すという行動は強みの種ですが、Dさんにとってはそうではなく、むしろ弱みです。
強みと弱みとは「できるかできないか」ではなく、「エネルギーが湧くか消耗するか」の違いです。
現段階ではDさんより話術が劣っていても、話すことが楽しく、頼まれもしないのに自発的に練習をするCさんは、楽しみながらスキルアップし、いずれ差が埋まっていくでしょう。
エネルギーが湧く行動はやっていて楽しいので長続きします。
長く続けていくと、上達し、周囲も認めるようになっていきます。
ですからエネルギーが湧く行動にこそ強みの種が隠れているのです。
*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。