文化勲章を受章した
2人の卒業生

 文化勲章を受章している学者が、2人いる。旧制五中2期生の電子工学者だった岡部金治郎と、新制瑞陵高校3期生の生化学者で神戸大学長を務めた西塚泰美(やすとみ)だ。

 岡部は分割陽極マグネトロンを発明し、日本の十大発明家に選ばれた。

 西塚は京都大ウイルス研究所教授などを務め、ガードナー国際賞など内外から10を超える生理学・医学の学会賞を受賞している。ノーベル賞受賞の期待がかかっていたが、2004年に死去した。2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大特別教授の本庶佑(ほんじょ・たすく、山口県立宇部高校卒)は京大博士課程時代、西塚から指導を受けた。

 医学者では、公衆衛生学の瀬木三雄がいる。厚生省の初代母子衛生課長を務め、母子健康手帳を創設した。

 自律神経学の高橋昭、生化学者でパーキンソン病の治療法開発に貢献した永津俊治、脳動脈瘤(りゅう)治療の杉田虔一郎、先端医療に挑む眼科医の三宅養三らも卒業生だ。

 滋賀医科大講師の今井真(現滋賀睡眠クリニック院長)は6人の仲間と共に2011年に「イグ・ノーベル賞」の化学賞を受けた。この賞は「ユーモアで笑わせた後、なるほどと考えさせる研究」に贈られるもので、耳の不自由な人に向けた「緊急時のめざめに最適な空中わさび濃度の決定と、それを応用した警報装置の開発」が評価された。

 内科医の花村泰範は11年までの10年間、沖縄・与那国島で離島医療を続けた。03年から06年にかけて「Dr.コトー診療所」というテレビドラマが放送され、与那国島でロケが行われた。花村は医療指導という立場で制作に助言した。

 名古屋市には、百余年続く眼科の杉田病院がある。2代目院長杉田英一郎、3代目雄一郎、4代目元太郎、5代目院長の潤太郎、現院長の威一郎はそろって五中・瑞陵のOBだ。

 宇宙物理学の村上敏夫、物質構造化学の野村昌治、知能情報学の鈴木麗璽、国際環境農学者でライプニッツ農業景観研究センター教授の木村園子ドロテアもOB・OGだ。