「こんな自分がうまくいくなんておかしい」…成功を信じられない人たちのリアル
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インポスター(詐欺師)症候群とは?
今日のテーマは自分の実力を過小評価する「インポスター(詐欺師)症候群」です。これは米フェイスブックのシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)が著書『LEAN IN(リーン・イン)』で自身にインポスター症候群の傾向があると書いたことから、広まったものです。
成功しているのに自信が持てない。自分が成功したことを、実力で成し遂げたのではなく、たまたま運がよかったとか、周りの人のおかげだと思い、自分をあたかも“詐欺師”のように思って、過小評価してしまうのです。
日本ではまだあまりメジャーな言葉ではないため、今回はあえてその別名である「詐欺師(ペテン師)症候群」という言葉も交えてお話しします。
まず前提として、これは医学的な病名ではありません。年齢に反して精神的に大人になれず、子どものような言動を続ける「ピーターパンシンドローム」などと同じく、ある特徴を持つ人たちを概念としてまとめたもので、主に心理学の分野から来ています。
この言葉は、1978年に心理学者のポーリン・R・クランス氏とスザンヌ・A・アイムス氏によって命名された非常に興味深い考え方です。
「自分は実力がない」と思い込んでしまう心理
インポスター症候群をごく簡単にいうと、「自分はまるで詐欺師やペテン師であるかのように思い込んでしまっている状態」のこと。
客観的に見れば仕事や人生がある程度うまくいっている、あるいは大成功しているにもかかわらず、本人はそう思えません。「自分にはそんな実力はない」「たいそうな人間ではない」と感じており、それどころか以下のような思考にとらわれてしまいます。
「私よりも優れた人はたくさんいるのに、間違いで自分が成功してしまっている」
「いつかこのメッキが剥がれてしまうのではないか」
本来、うまくいけば「万歳!」「自信がついた!」と喜ぶのが普通ですが、この症候群の人はそうはなれません。自己肯定感の低さというよりは、もはや「自己嫌悪」に近く、「こんな私がうまくいくはずがない、何か悪いことをしているようだ」という感覚が頭から離れないのです。
こんな自分がうまくいっているのは何かの間違い?
実は、私自身もそうなんです。先日、ある分野で驚くほど成功している方にお会いしたのですが、その方も「自分はうまくいっていない、もっと優秀な人がいる」とおっしゃっていました。
私も自分自身のことを実は「ポンコツ」だと思っています。これまで著書を出させていただいたりしていますが、医師としては手先が不器用で、研修医時代は基本的な手技すら上手くできず、当直も辛くて恥ずかしい思いをしてきました。
周りの医師たちがアグレッシブに働き、家庭も持っている姿を見ると、きちんと睡眠時間を確保しないと動けない自分はまるで「ポンコツ」のように感じることがあります。「こんな自分がうまくいっているのは何かの間違いだ」という感覚は、私自身も強く持っているのです。
幸せに生きるための処方箋
自信のなさを「力」に変える
では、こうした感覚を持つ人はどうすればよいのでしょうか。「自信を持ちましょう」と言われても難しいものです。私は、無理に自信を持とうとするのではなく、その感覚をそのまま受け入れてしまったほうがいいのではないかと考えています。
1.「傲慢にならない」という強みとして受け入れる
自分を過小評価している人は、決して傲慢になりません。「自分なんてまだまだだ」と思い続けているため、常に努力し、成長し続けることができます。その結果、皮肉なことにさらにうまくいってしまうのです。
この「謙虚すぎる姿勢」を自分の個性として受け止め、バネにして生きていくのが良いのではないでしょうか。
2.事実(結果)を客観的に認める
「まぐれで成功している」という感覚は持ち続けても構いませんが、確率論として、実力がないのに偶然だけで成功し続ける確率はほぼゼロです。
「自分は認められないけれど、事実は事実としてある」と、少し冷静に捉えてみてください。
3.誰かの分の思いも背負って「ぼちぼち」生きる
世の中には、結果を出したくても出せない人がたくさんいます。自分がその場所にいるということは、そうした人たちの思いも背負っているということです。
「自分はペテン師ではないか」という不安な感覚は否定せず、自分の理念として持ちつつも、自分を追い詰めすぎないこと。「結果を出した自分」をあまりに否定してしまうと、同じ場所を目指している人たちの居場所までなくしてしまいます。
あなたは決して詐欺師ではありません。不完全な自分を許し、認め、「ぼちぼち」やっていく。これに尽きるのではないかと思います。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。






