「自分を好きになれない人」と「楽しそうな人」の決定的な違い
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【精神科医が教える】自分を好きになれない人に共通する…やめるべきNG習慣・ワースト1Photo: Adobe Stock

「自分を好きになりたい」というお悩み

「自分のことを好きになりたいのですが、どうしたらいいですか?」

このようなお悩みを時々いただきます。今日はこのテーマについて、詳しくお話ししたいと思います。

「自分を好きになる」とは、どういう状態でしょう?

まず考えてみてほしいのですが、「自分のことを好きになる」とは、一体どういう状態を指すのでしょうか。皆さんの周りに「この人は自分のことが好きそうだ」と思う人を想像してみてください。

その人は、「私のこと大好き!」とわざわざ口に出しているでしょうか。おそらく、言っていないと思います(たまに言う人もいますが、皆さんが目指しているのは、そういうタイプではないはずです)。

また、鏡を見てうっとりと「私って素敵だわ…」と見とれているような人でも、きっとないでしょう。そういう人に憧れる、というわけでもないと思います。

「好き」という感情は、本来「他人」に向かうもの

「自分を好きになりたい」と願う人が本当に目指していることは、実は「自分のことを好きになる」ことではないのです。

なぜ、このような「ズレ」が起きるのでしょうか。「ご自愛」という言葉もありますが、本来「好きになる」という感情は、自分ではなく他人に対して抱くものです。

「あの人のことが好き」という感情は、人間にとってごく自然で素敵なものです。他人のことが気になってしまう、心惹かれるというのは、素晴らしい感情です。

人は、自分にないものを持っている人に憧れます。では、「自分に心惹かれる」とはどういうことでしょう。

自分は自分自身であり、イコールです。自分にないものを自分が持っているはずがありませんから、自分自身に憧れる、というのは少し不自然な感覚ではないでしょうか。

本当のゴールは「大好き」ではなく「嫌いではない」状態

このように考えると、「自分を好きになる」という言葉は、厳密には少し違うということがわかります。では、「自分を好きになりたい」と悩んでいる人に欠けているものは何でしょうか。

それは、「自分のことが嫌いではない」という感覚です。「大好き」にまでなる必要はありません。自分のことを「嫌いだ」とヘイト(憎悪)していない状態

もし、自分のことを嫌いだと思っていないのであれば、それはもう「自分のことを好きである」状態だと言えます。「私のこと大好き!」とは、また別の話なのです。

「自分のことが嫌い」と考える「暇」をなくす

目指すべき状態が「自分のことを嫌いではない」状態であるなら、それを実現すればよいわけです。

世の中には、「自分は嫌いだ」と思いながら生きている人と、「そんなこと考えたこともない」という人に分かれます。目指すべきは、後者の「考えたこともない」という、ある意味で健全な状態です。

「自分を好きになりたい」と悩む人は、常に「自分のことが嫌いだ」という感覚にとらわれ、そこから離れられない状態にあります。だとしたら、「好きになろう」と努力するのではなく、「自分が嫌い」という考えが頭に思い浮かばないようにすることが近道です。

頭をお暇にしない

では、どうすればよいのでしょうか。それは、「頭をお暇にしない」ことです。

考え事ばかりしていると、いずれ「解決できない問題」に行き着いてしまいます。そして、そうした問題はネガティブなものであることが多いため、たいてい嫌な気持ちになります。

「自分を好きになれない」という悩みも、まさに解決が難しい問題の一つです。こうした悩みは、あなたの「頭がお暇」になっている時にこそ、とりとめもなく浮かんできてしまうのです。

目指すのは「今、夢中になっている」こと

本当に自分のことを愛せているように見える人、楽しそうに生きている人は、「自分を愛そう」などとは考えていません。ただ、毎日の生活を楽しんでいるだけです。

皆さんが目指すべきなのは、「今やっていることに集中する」ことです。「自分を好きになろう」と頭で考えるアプローチでは、何も変わりません。

それよりも、「自分は何がしたいかな?」「今、これをやってみたいな」と自分の気持ちを確認し、それに基づいて計画を立て、実際に行動(=動く)してみましょう。

自分の好きなことや楽しいことを見つけ、その行動に夢中になっているうちに、自然と毎日はハッピーになっていくはずです。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。