特別に優秀というわけでもなく、派手な成果を出しているわけでもない。それなのに、なぜか「あなたがいてくれないと困る!」と言われる。そんな、どれだけAIが発達しても「必要とされ続ける人たち」は、いったい何をしているのだろう?
その答えを教えてくれるのが、400以上のチームを見て「人と協力するのがうまい人の特徴」をまとめた書籍『チームプレーの天才 誰とでもうまく仕事を進められる人がやっていること』(沢渡あまね・下總良則著、ダイヤモンド社刊)だ。「仕事の人間関係が良くなる!」と話題の一冊から、その考え方について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

AI時代でも「職場で必要とされ続ける人」が密かにやっている“6つの行動”Photo: Adobe Stock

職場で「なぜか頼られる人」の共通点

 あなたの職場にもいませんか?
 リーダーでもエースでもないのに、なぜかチームの信頼を集める――。
 特別な能力があるわけではないのに、「ほんと、あなたがいて助かった!」と言われる人が。

 実は彼(彼女)らには、ある“共通点”があります。
 それは、チームの皆が迷わず前に進むための「マネジメント」をしているという点。

『チームプレーの天才』では、その重要性について、このように書かれています。

リーダーやメンバーが忙しい人であればこそ、誰かがビジョンやゴールをタスクに落とし込んだり、担当者へのリマインドや進捗管理などをしたりする必要があります。そうしないと、悪気なく「総論賛成、各論動かず」で何も進まなかったり、「抜け」「漏れ」「し忘れ」によるトラブルが常態化したりします。
――チームプレーの天才』(270ページ)より

 皆が優秀で忙しく動いているときほど、チームの“抜け”や“漏れ”を防ぐ人が価値を発揮するのです。

必要とされる人に共通する「6つの行動」

 では、そんな「陰の推進力」をどう身につけるのか。
『チームプレーの天才』が紹介しているのが、こちら。

小規模のチームやプロジェクト、小さな共創活動でも活用しやすい軽量なプロジェクトマネジメントの方法論もあります。私はそれをライトプロジェクトマネジメントと名付け、普及に取り組んでいます。
――チームプレーの天才』(268ページ)より

 以下が、ライトプロジェクトマネジメントを構成する6つの要素です。

1:ビジョンの翻訳
 そのチームやプロジェクトのビジョン、リーダーの思いなどをメンバーや関係者がイメージしやすい言葉や行動レベルに落とし込む。

2:タスク分解
 そのビジョンやゴールを達成するために、リーダーやメンバーがすべきこと、すなわちタスクを設計する(ビジョンやゴールをタスクに分解する)。

3:計画策定
 洗い出したタスクに対し、役割とスケジュールを決める(計画表を作成する)。

4:優先度付け
 各々のタスクにあらかじめ、または計画どおり進まなかったときなどに優先度を決める(または優先度を決めるための旗振りをする)。

5:進捗管理
 各々のタスクの進捗状況を、担当者と確認して管理する。担当者に対する、タスクの「し忘れ」がないかどうかの確認やリマインドも行う。

6:課題管理
 タスク外で発生する問題や課題(例:突発オーダー、トラブル、組織運営上の問題など)を言語化し、対応方針を決める(決めるための旗振りをする)。

AIにはできない「チームをまとめる」という能力

 この6つのアクションをどれか一つでも実践するだけで、チームは驚くほど前に進みます。

 AIを使えば、個人のスキルや、出せる結果は飛躍します。
 ですが、そういった人たちをまとめ、人間感情にも配慮しつつ“チームとして円滑に進行できるようにサポートする”ことは、まだ人間にしかできないことです。

 こういった役割を「自然と」引き受けている人こそ、「AI時代でも必要とされ続ける存在」なのです。

(本稿は、『チームプレーの天才 誰とでもうまく仕事を進められる人がやっていること』の発売を記念したオリジナル記事です)