「やる気がない人も含めて、仕事は全員参加でやるべきだよね」と言う人にモヤモヤする。
そんなあなたにお薦めしたいのが、400以上のチームを見た専門家が「仲間と協力して大きな成果を出せる人の特徴」をまとめた『チームプレーの天才 誰とでもうまく仕事を進められる人がやっていること』(沢渡あまね・下總良則著、ダイヤモンド社刊)という本だ。「チームで仕事をするうえで、大事なことを教えてくれる」と話題の一冊から、その考え方について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

「やる気がない人も含めて、仕事は全員参加でやるべき」と思っている残念な人に教えてあげたい、“ある言葉”Photo: Adobe Stock

「みんな仲良く」は正解なのか?

 「チームなんだから、みんなで仲良くやるべきだよね」

 職場でこんな声をよく耳にします。
 もちろん、人間関係が円滑であるに越したことはありません。

 しかし、現実の現場では「みんな仲良く」は必ずしも正解ではありません。
 なぜなら、どれだけ丁寧にコミュニケーションをしても、チームの足を引っ張る人が一定数存在するからです。

「場を乱す人」がチームに与える影響

 そんな思い込みを揺さぶるように、『チームプレーの天才』という本にはこんな一節があります。

共創活動といえども、菩薩のような心で誰でも受け入れればよいというものではありません。アンチな人や、あまりにやる気のない人、方向性が違う人、場を乱す人がいると(または増えてくると)、そのチームやコミュニティが悪い意味でぬるくなったり、治安も悪くなったりします。
――チームプレーの天才』(136ページ)より

 やる気が極端に低い人、方向性が違う人、場を乱す人……。
 こうした人たちが混ざると、チームは“ぬるく”、なり治安が悪化し、前向きなメンバーほど疲れ果てていきます

 たしかに、人を拒まない姿勢は一見やさしく見えます。
 しかし、組織は“単なる仲良しクラブ”ではありません
 前に進むための集団です。

 だからこそ、「誰でもウェルカム」が本当にチームのためかといえば、決してそうではありません。
 大切なのは、ビジョンや覚悟を共有できる人と進むことです。

“合わない人”の扱い方

 「排除」と聞くと強い言葉に聞こえますし、現場での実行にはためらいも生まれます。

 では、実際どうすればいいのか。
 ここについても、『チームプレーの天才』は具体的な視点を示しています。
 著者が関わっている地域コミュニティで実践している内容です。

チームのモチベーションを高く維持できるよう、「暇つぶしの参加者」「ただ単に飲みたいだけの人」「組織を動かす/動かそうとする権限や覚悟のない人」は参加お断りにしています。そのような人たちが混ざらないよう、以下のような運用をしています。
・メンバーによる招待制
・ビジョン、ミッション、バリューをWebサイトで公開
・定例活動は平日日中に開催(会社の時間やお金を使って本気で参加してほしいため)

――チームプレーの天才』(137ページ)より

 ここにあるのは、単なる排除ではありません。
 “本気の人しか来ない仕組みをつくる”という戦略です。
 これは決して冷たい対応ではなく、チームが持続的に機能するための“防御”です。

 あなたの周りにも、「なんとなく場の空気を濁す人」「意欲を削ぐ人」がいませんか?
 仲良くすることは悪くありません。
 しかし、仲良くする相手を“選ぶ”ことこそ、チームが強くなる条件です。

 “みんなで仲良く”の幻想を、いったん脇に置いてみませんか?

(本稿は、『チームプレーの天才 誰とでもうまく仕事を進められる人がやっていること』の発売を記念したオリジナル記事です)