「チームがうまくいかない」「仕事相手に信頼されたいのに、うまくいかない」――そんな悩みを抱えていませんか? 一方で、特別なスキルがなくても「なぜか一緒に働きたくなる人」がいるのも事実です。その人たちは、仕事相手との人間関係を良くし、チームで成果を出す“シンプルな習慣”を大事にしています。
本記事では、400以上のチームを支援してきた組織開発の専門家による書籍『チームプレーの天才』(沢渡あまね・下總良則著、ダイヤモンド社刊)から、「誰とでもうまく仕事を進められる人」が欠かさずやっていることを紹介します。信頼される人になりたい方、チームワークを高めたい方は必読です。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)
「仕事仲間に好かれる人」が実践していること
「ここには敵がいない」環境、すなわち心理的安全性が高い状態のチームには、ほぼ例外なく根底に互いへのリスペクトがあります。
ここまでにお伝えしてきたことも含まれますが、共創関係でものごとを進める際に大事にしてもらいたいリスぺクトのある行動の例をいくつか示します(ほんの一例です。余裕があればもっと書き綴りたい……)。
①自分(たち)の「べき論」を一方的に押し付けない
観察と対話を通じて、相手の事情や背景も理解し丁寧に関係構築する。相手の事情もくみ取り、動機にも配慮して合意形成する。仮に自分たちの都合を優先させるケースでも、事後であってもその理由などを丁寧に説明する。
②相手を下請け扱い、業者扱いしない
「業者に提案させる」「若手にやらせる」などの表現を使わない(たとえ、社内だけの身内の場であっても)。お取引先に対し「提案して」と丸投げするのではなく、一緒に考え頭や手を動かす。
③アイデアや手柄を横取りしない
メンバーやお取引先のアイデアや提案を横取りしない。「あとは自分たちだけでやりますから」と、対価も支払わずに自分たちだけの手柄にするような真似をしない。
④役割を「偉さ」と勘違いしない
相手に対して真摯かつ謙虚。会社の看板や職位を盾に偉ぶったり、相手にマウンティングしたりしない。しかしポリシーを持ち、言うべきことは毅然と伝える(あるいは第三者を介して伝える)。
⑤相手に関心を示す
自分たちの課題やテーマだけを一方的に話すのではなく、相手のテーマにも関心を示す。異なる立場や境遇の人の話を聞く。
⑥仲介者や目立たない人への感謝を忘れない
他者(他社)と引き合わせてくれた人、仲立ちをしてくれた人の顔を立てる。間接部門など、裏方役になりやすい人たちへの感謝を示す。
⑦感謝を受け止める。謙遜しすぎない
感謝される側、褒められる立場になったとき、過剰に謙遜したり斜に構えたりしない。素直に喜ぶのも、褒めてくれた相手へのリスぺクティング行動です(ただ世の中、褒められ慣れていない人も多く、その裏側には褒めない文化があると感じています。褒め合う文化も醸成していきたいです)。
人の「やる気」を削ぐ、いちばんの要因
とりわけ注意したいのが「無関心さ」。
相手の存在や事情、テーマへの無関心さは、相手のモチベーションを無駄に削り、共創に対する動機を削ぎます。
人は忙しすぎると目の前のタスクに没頭してしまい、周囲や他者に無関心になる生き物です。
余白を創出し、様々な場や体験を増やし、対話力やリスぺクティング行動などの能力を磨き、相手を無駄に遠ざけない体質に進化していきましょう。
(本稿は、書籍『チームプレーの天才』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。書籍では、他者との仕事をラクにする具体的な93の技術を紹介しています)
■書籍のご紹介
誰とでもうまく仕事を進められる人は、
何をしているのか?
「他者」との仕事が
驚くほどラクになるコツ!!
発売たちまち、「読者からの声」が続々と届いています!
この本は、現代の複雑なビジネス環境において他者との協力に課題を感じている方におすすめの本です。
プロジェクトを進めていく上で忘れてはいけないことを示してくれる本でした。
チームメンバーにも本書を勧めて、より成果を出すチームにしていきたいと感じました。
仕事をしていくうえで不可欠な人とのかかわり方についても良い気づきが得られる本
チームで成果を出したい人はもちろん、人間関係に悩んでいる人にも刺さる内容です。

「ひとり」で頑張るのはしんどい。
でも、「他者」と協力するのも億劫……。
本書は、そんな葛藤を抱える人のための本です。
近年、チームで成果を出すよう求められるシーンが増えてきました。変化の激しい時代において、自分たちの専門性や意欲だけでは、ひいては従来の「勝ちパターン」では答えを出すことができない。よって他者と協力して答えや結果を出すやり方にシフトする。その流れは必然とも言えます。
チームの仲間、社外の取引先、そして、これまで関係のなかった未知なる仲間たち。幅広く他者と手を組み、いままでとは異なる答えを出す。それができない組織や人は、イノベーションはおろか現状維持さえも厳しいでしょう。
その時代の流れの中で、脚光を浴び始めたある言葉があります。
「共創」です。
共に創ると書いて、共創。この言葉をビジョンやスローガンに掲げる企業が増えてきました。
一方で、共創は「言うは易く行うは難し」の典型。なかなか思うようには進みません。「共創できるチーム、組織にしていきたい。しかし、うまくいかない……」。企業の経営者や部門長、地方自治体の長などから、このような相談を、本書の著者たちは日々受けています。
そんな人たちに向けて、他者と「共創」関係になり、一緒に結果を出すための方法を伝えるのが本書です。組織開発の専門家である沢渡あまねさんと、デザイン経営の研究者・実務家である下總良則さんが、これまで400以上の組織やチームを見てきたなかで気づいた「他者と協力して結果を出せる人たちがやっていること」を、具体的な93のコツとして紹介します。
リーダーやマネジャーにかぎらず、いちメンバーでも実践できる内容です。ひとつでも実践してもらえれば、仕事仲間とのコミュニケーションが変わり、関係性が変わり、結果も変わってくるでしょう。
他者と協力して仕事の結果を出したい人にとって、具体的な学びの多い一冊です。
本書はこんな人におすすめです
「社内でチームの一員として仕事している」
「部署横断プロジェクトのメンバーに選ばれた」
「取引先や協力会社など社外の人と仕事をしている」
「社外でイベントやコミュニティの運営に関わっている」
「地域や行政などと協力する必要がある」
本書はこんな悩みを解決します
「意見が食い違ってぶつかってしまう……」
「経験や価値観がバラバラでまとまらない……」
「意欲を持って取り組んでもらえない……」
「お金を払っているのに、ちゃんとやってくれない……」
「前進している手応えを感じられない……」
仲間と協力し合うための93のコツを紹介!!
第1章 「ゴールイメージ」を合わせるーー見ている「景色」がバラバラになっていないか?
第2章 「動機」に寄り添うーー自分たちの都合ややり方を押し付けていないか?
第3章 「ストーリー」を描くーー自分たちだけで盛り上がって「孤立」していないか?
第4章 「体験」を創るーー「本当にできるの?」と不安になっていないか?
第5章 「振り返り」を習慣にするーー「勉強になった」「大変だった」で終わりにしていないか?
第6章 「余白」を大切にするーーいつも「成果」を出すことに追われていないか?
第7章 「能力」を補うーーいまのメンバーのままで走りきれるだろうか?
第8章 「キャリア」のイメージをもつーー自分やメンバーの「その後」を描けているか?
第9章 「変化・成長」を実感するーー目先の評価に惑わされて「成長」を見過ごしていないか?
■著者プロフィール
沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問(組織開発&ワークスタイル変革)。あまねキャリア株式会社CEO/一般社団法人ダム際ワーキング協会代表。プロティアン・キャリア協会アンバサダー。磐田市"学び×共創”アンバサダー。『越境学習の聖地・浜松』『あいしずHR』『読書ワーケーション』主宰。大手自動車会社、NTT データなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。主な著書は『組織の体質を現場から変える100の方法』(ダイヤモンド社)、『新時代を生き抜く越境思考』『EXジャーニー』『バリューサイクル・マネジメント』『職場の問題地図』(いずれも技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など。趣味はダムめぐり。#ダム際ワーキング 推進者。
下總良則(しもうさ・よしのり)
東北工業大学准教授(デザイン経営分野)/usadesign代表/一般社団法人 デザイン経営研究所 代表理事/一般社団法人RAC理事。多摩美術大学を卒業後、商品企画担当者・プロダクトデザイナー、グラフィックデザイナーを経て、usadesignとして独立。フリーランスデザイナーとして、世界シェア第3位の広告代理店ピュブリシス傘下ビーコンコミュニケーションズや、ネクストユニコーンをはじめとするスタートアップ企業にジョインし、「デザインと経営学」をテーマに活動を広げる。ニューヨークで伝統ある国際グラフィックデザインアワード「Graphis Design Award」にて2023年に金賞を受賞し、ロゴ部門単独では世界第2位、日本からのエントリーの中では第1位を獲得。このほか、日本高等教育開発協会が審査した「コロナ禍でのICTを活用した新しい授業公募」にて、唯一の審査会全会一致事例として最優秀事例に採択され、日本の私立大学の中で第1位を獲得するなど、受賞多数。グロービス経営大学院修了MBA取得。著書に『インサイトブースト 経営戦略の効果を底上げするブランドデザインの基本』(ハガツサ)がある。