岡田卓也イオン名誉会長相談役の姉で、2022年亡くなった小嶋千鶴子氏(イオン提供) Photo:JIJI
流通大手・イオンの名誉顧問だった小嶋千鶴子氏は、2022年に106歳で亡くなった。彼女が成し遂げたことは、人事や組織経営を考える上で避けられないほど、学ぶべき点が多い。特に、彼女は経営層の秘書を1、2年で異動させるというこだわりを持っていたのだが、一体なぜなのか。(イトモス研究所所長 小倉健一)
ユニクロ柳井氏も尊敬する小嶋千鶴子氏の才覚
日本を代表する巨大流通グループ「イオン」の基盤を築いた人物として、創業者の岡田卓也氏の実姉、小嶋千鶴子氏(旧姓:岡田千鶴子)の存在は、企業経営を深く学ぼうとする者にとって不可欠な論点である。
ファーストリテイリング(ユニクロ)の柳井正代表取締役会長も、評伝『イオンを創った女 ― 評伝 小嶋千鶴子』(東海友和著、プレジデント社)を読んだ感想として、次のように語っている。
「小嶋さんがイオンの実質的な創業者だなとよくわかります」
「(小嶋氏が)教育者であり、クリエイティブディレクターでもあり、組織をまとめることもする。それこそ真の経営者なんだと思います」
「小嶋さんと僕は性格がすごく似ているんじゃないかと思います。やはり経営者はこうでないといけないと思いました。小嶋さんは本当にすごい人」
「小嶋さんが会社の構想を練ったり、人間的な側面を見たりして、岡田さんは実務を行った。いまでいうところのCEOが小嶋千鶴子さんで、岡田卓也さんがCOOですね。会社の基本的なこと自体は、彼女のほうがよく理解していたのではないかなと思います」
(プレジデントオンライン、2019年1月11日)
表立った場に出ることを好まず「影の功労者」と呼ばれた小嶋氏は、106歳の天寿を全うするまで、組織と人材のあり方について深い洞察を持ち続けた。
小嶋氏が自ら実行し、組織全体に徹底させた人事の心得の中で、特に異彩を放つのが、経営トップの秘書という重要な役割を持つ人々の処遇である。







