会社を伸ばす社長、ダメにする社長、そのわずかな違いとは何か? 中小企業の経営者から厚い信頼を集める人気コンサルタント小宮一慶氏の最新刊『[増補改訂版]経営書の教科書』(ダイヤモンド社)は、その30年の経験から「成功する経営者・リーダーになるための考え方と行動」についてまとめた経営論の集大成となる本です。本連載では同書から抜粋して、経営者としての実力を高めるための「正しい努力」や「正しい信念」とは何かについて、お伝えしていきます。
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リーダーに最も必要なものは「正しい信念」
経営者は「正しい」信念を持つことが大切です。
「正しい信念を持つ」――この言葉の中には、キーワードが二つあります。それは「正しい」と「信念」です。世の中には正しくない信念だってあります。
「この会社は、俺のベンツを維持するためにある」
「社長一族だけがいい思いをするためにこの会社は存在する」
というのも信念です。
でも、正しい信念ではありません。
それでは人はついてきません。そうした意味で、経営者にとって「正しい信念」を身に付けられるかは、とても重要なことなのです。
正しい信念を持つための
おススメの方法
正しい信念を持つために、私がお薦めするのは、何千年もの長い間、読み継がれた本を読むことです。
例えば『論語』や『老子』などの中国の古典や、『聖書』や『仏教聖典』でもいいでしょう。
多くの人が正しいと信じて長く読み継がれた本です。そうした本には、真理があるからです。
原典に当たるのは難しくても、今は読み下した良書が沢山あります。
現代の方の本であれば、松下幸之助さんや稲盛和夫さんなど、多くの人が素晴らしいと認める方の本を読み、それを実践することで「正しい信念」は身に付いていくのです。
こういう良い本を何度も何度も読むことです。一度読んで分かったつもりではダメなのです。
「正しい信念」がない経営者は、どこかでコケます。
間違った信念であっても、持っていれば勇気やエネルギーは出るのです。そんな人たちだって、一時は稼ぎます。でも、しょせん独りよがりの間違った信念ですから、中には塀の中に落ちる人もいるのです。
「正しい」という意味は独りよがりではなくて、何千年もの間多くの人に支持されてきた思想、つまり真の成功と幸せのための思想を身に付けるということです。
これは、人間として一番大事なことでもあります。ビジネスで成功するしない以前の問題です。
けれど、稲盛和夫さんもおっしゃるように、ビジネスもまた人間の活動の一つですから、会社の成功も、リーダーが正しい考え方を持っているかどうかにかかっているのです。
きれいごとのように聞こえるかもしれませんが、そのきれいごとを真剣に追求できる人が本当に成功するのです。私が多くの会社や多くの人を見てきて間違いないと思っていることです。
(本稿は『[増補改訂版]経営者の教科書 成功するリーダーになるための考え方と行動』の一部を抜粋・編集したものです)
株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO
10数社の非常勤取締役や監査役、顧問も務める。
1957年大阪府堺市生まれ。京都大学法学部を卒業し、東京銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。在職中の84年から2年間、米ダートマス大学タック経営大学院に留学し、MBA取得。帰国後、同行で経営戦略情報システムやM&Aに携わったのち、91年、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。その間の93年初夏には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。
94年5月からは日本福祉サービス(現セントケア・ホールディング)企画部長として在宅介護の問題に取り組む。96年に小宮コンサルタンツを設立し、現在に至る。2014年より、名古屋大学客員教授。
著書に『社長の教科書』『経営者の教科書』『社長の成功習慣』(以上、ダイヤモンド社)、『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』『図解キャッシュフロー経営』(以上、東洋経済新報社)、『図解「ROEって何?」という人のための経営指標の教科書』『図解「PERって何?」という人のための投資指標の教科書』(以上、PHP研究所)等がある。著書は160冊以上。累計発行部数約405万部。




