女性ひとりひとりが輝ける社会をつくるため、ソーシャルメディアマーケティング事業と美容クーポンサイト「キレナビ」を中心に展開するトレンダーズ株式会社の代表として、そして女性起業家のオピニオンリーダーとして注目される経沢香保子氏と、外資系企業でのマネジメント経験豊富な新将命氏が、働く女性を取り巻く現状や、ダイバーシティマネジメントにおける女性の活用について意見を交えます。

会社を起こすという選択肢に気づいて

経沢香保子(つねざわ・かほこ)
トレンダーズ株式会社 代表取締役
1997年慶応義塾大学経済学部卒業、同年株式会社リクルート(現リクルートホールディングス)に就職。楽天株式会社を経て、2000年トレンダーズ株式会社設立。美容クーポンサイト「キレナビ」など、女性に特化したソーシャルマーケティングの事業展開を行う。2012年東証マザーズに上場し、現在、最年少上場女性社長。
著書に『自分らしい人生を創るために大切なこと』『自分の会社をつくるということ』(ダイヤモンド社)など。

経沢香保子(以下、経沢) 以前、新先生の『経営の教科書』を読ませていただいて、とても勉強になったので感想をメールでお送りしたんですよ。だからお会いできるのをとても楽しみにしておりました。

新将命(以下、新) ありがとうございます。

経沢 あのときに新先生から「頑張ってください」ってお返事をいただいて。嬉しかったです。

 お役に立てたなら光栄です。経沢さんは経営者になりたいと思って起業なさったのですか?

経沢 実はお恥ずかしながら、最初は違いました。新卒でリクルートに入って、その後に創業まもない楽天に転職しました。私が転職した当時はまだ社員20人前後という規模でしたが、三木谷浩史会長のそばで新規事業を立ち上げるなどさまざまな経験をさせていただき、仕事をおもしろいと感じたんです。

 なるほどね。

経沢 仕事がひと段落したときに私は26歳になっていましたが、留学しようと思い会社を辞めました。でも意志が弱いのか留学準備もなかなか進まず飲み歩いているうちに、こんなことできないか、と仕事を頼まれるようになったんです。私は会社員として一番になろうとしていたけれど、会社を興すという選択肢もあるんだなと思いました。

 ですから最初の3年くらいは計画性があったというよりも、お客様がいらしたから食べていけたという感じです。ただ、このままでは座席数の少ないラーメン店と同じで、スープの味が悪くなればおしまいです。会社や社員の将来を考えるなかで仕事のやり方、考え方、覚悟が変わりました。

 2012年に上場しましたが、上場前と上場後では再起業したというくらい気持ちに変化がありましたね。