上場企業で代表権を持つ女性はわずか0.7%
日本がアメリカから大きく遅れる理由

 かつては非常に稀有な存在であった女性社長だが、今ではその活躍も珍しいものではなくなりつつある。東京商工リサーチが2010年11月に全国209万社を調査した「全国女性調査」によると、10人に1人が女性社長という現状。受け止め方は人それぞれだと思うが、「意外と少なくない」と思われる方もいることだろう。

 しかし、上場企業で代表権を持っている女性の比率を見るとその印象は大きく変わるかもしれない。なぜなら、上場企業で代表権を持つ6200人のうち女性は43人と、わずか0.7%ほど(東洋経済新報社「全上場会社の役員における女性登用状況調査」2010年1月)。最近、大企業が女性をトップに登用するケースも増えつつあるが、実際は“あるべき姿”とかけ離れている状況である。

 それに対して、アメリカの状況はどうだろうか。アメリカ人の中には、まだまだ女性登用が十分ではないと言う人もいるが、日本に比べるとやはり大きく進んでいる。実際、ハイテク系を代表する企業であるイーベイとヒューレット・パッカードは、それぞれメグ・ホイットマンとカーリー・フィオリーナを違和感なくCEOに迎えていることからも明らかだ。また、私自身もアメリカで仕事をしている頃に男女の壁は感じず、ビジネスミーティングなどでも対等に話をすることができた。

 アメリカでは、基本的に履歴書には男女、年齢、人種などを書く義務はなく、反対にマイノリティの方が有利になるような流れさえある。その一例として挙げられるのが私の母校でもあるスタンフォード大学で、ここでは“マイノリティ”と呼ばれる人たちの入学を積極的に進めている。そうしたことを行う背景には、“マイノリティ”の人々は正当に評価されないことがあるために優秀な人が多く残っており、そのなかからよい人材に巡り会える確率が高いという考えがある。ある意味、スタンフォード大学は、大学ながらも経営的な視点とポリシーを持っているといえるだろう。

 日本の話に戻すと、アメリカと比較して男女雇用機会均等法などによる男女の壁を取り払う法整備の歴史が浅いためか、ハイテク系の企業では女性をトップに据えるという発想さえない。私が日本の大学を卒業する頃など、大学の就職課に男性の求人のみしか掲示されていない状況だったので、今となれば随分進んだとも考えられるが、やはりまだ不十分だ。日本もスタンフォード大学のようなポリシーを持つべき時代を迎えているのではないだろうか。