重度の貧血になれば
心不全や腎不全になりかねない

 ほかにも眼瞼結膜(下まぶたの内側の粘膜)の色はピンク~赤色が正常ですが、白くなっている場合は貧血の可能性があります。重度の貧血では顔面蒼白に……。そこまで進行する前に気づき、貧血を治したいですね。

 ちなみに混同されやすいサインとして、手足の指が青白くなる「レイノー症候群」があります。これは貧血とは関係なく、多くが寒さにさらされたことで指の細い血管が縮んでしまった一時的な症状で、手や足を温めたり、手足等の細い血管を広げる薬を使うと回復するでしょう。

 貧血については軽く考える人が時々いるのですが、不足した酸素を取り込むため、心臓や肺に負担をかけている状態です。重度の貧血になれば心不全や腎不全にもつながりかねません。免疫機能が低下して感染症にかかりやすくもなります。

 ですから健康診断で貧血を指摘されたら、病院の受診が必須です。貧血と診断されても「私は別に疲れやすくない」と言っていた人が、治療して貧血が改善して初めて「今までの状態は正常ではなかったのだ」と自覚することもあります。暑さのせい、年のせいにせず、体の声に耳を傾けましょう。

「ばち状爪」なら
肺の病気や肝硬変の可能性

 次に、同じく指先にサインが現れる「肺疾患」を取り上げます。

 爪が“太鼓のばち”のように変形した状態「ばち状爪」であると、肺がんや肺線維症、気管支拡張症などの肺の病気と先天性心疾患、肝硬変などが隠れている恐れがあります。

 といってもばち状爪を見たことがない人はよくわからないかもしれません。下の写真を参照してください。

「爪」と「顔」を見れば一発でわかる…肝硬変、腎臓病、肺がん、貧血になりやすい人の「見た目」の特徴とは?【写真あり】〈2025会員ベスト9〉ばち状爪 資料提供=東丸貴信医師

 正常な場合は、指の第一関節と爪先の角度が「約160度」なのですが、「180度以上」になると、ばち状爪とされます。軟部組織(爪を指に接着している部分)が増殖して、爪が指先を包むように丸くそりかえってしまうと考えられます。

 なぜこのような増殖が起きてしまうのでしょうか。

 原因のひとつには血管の成長を刺激するタンパク質の量(増殖因子)が関係しています。さまざまな増殖因子があるのですが、この場合は血小板から出る成長因子が活発化しているのです。

「増殖因子」というと、何だか良さそうに感じるかもしれませんが、例えばそこに「がん」や「炎症」などがあってどんどん増殖すれば問題でしょう。ばち状爪は何らかの理由で血液中の血小板由来増殖因子が活性化し、結合組織の過形成を起こしているのです。

喫煙者は要注意
ばち状爪になったら肺の検査を

 ばち状爪自体は病気ではありません。しかし因果関係は正確にはわかっていませんが、原因が肺疾患であることが多く、中でも肺がんを疑います。一方でぜんそくやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺炎、肝炎などではばち状爪にはなりません。それらは血流に関係しないからなのかもしれません。

 もちろん場合によっては遺伝によるものや、何の病気でないこともありますが、特に喫煙者は注意が必要です。ばち状爪になってしまったら、肺の検査を受けてほしいと思います。