10年連続で算数オリンピック入賞者を輩出している彦根市発の知る人ぞ知る塾「りんご塾」。天才を生み出すそのユニークな教育メソッドを、塾長の田邉亨氏が初公開した書籍『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(ダイヤモンド社刊)が、話題になっている。本書を抜粋しながら、家庭でも取り入れられるそのノウハウを紹介する。

つまずきに効くのは“教えること”じゃなかった…子どもが伸びる親の対応ベストアンサーPhoto: Adobe Stock

苦手な単元、克服させる方法は?

 例えば、お子さんが小数の足し算・引き算でつまずいているとします。何度教えても理解できない。そういうときは、いったんスルーしましょう。そして、1ケ月後ぐらいに改めて教えてあげてください。

 すると、嘘のようにすんなり理解できることがあります。

 なぜ、そんなことが起こるのかというと、能力の発達には個人差があるからです。その子は、その時点では、小数を理解できるだけの能力が発達していなかった。それだけのことです。

 特に、早生まれの子は影響を大きく受けます。その単元を理解できるだけの経験が他の子に比べて少ないので、答えをイメージしにくくなります。

 学年が上がるにつれ、つまずきやすい単元は増えていきます。

つまづくのは体験が足りないだけ

 例えば、単位。「1m=100cm」だということは、大人であれば簡単に理解できるし、イメージもできます。でも、それができるのは体験があるからに他なりません。

 親が子どもの背丈を測って、柱に印をつけながら「140cmだね」「1.4mだね」ということもできるでしょう。子ども自身に、そういう体験が伴ってくると、「あ、そういうことか」と腹落ちすることがよくあります。

 だから、すんなり理解できないところがあったとしても、すぐに完璧にしようとしなくてOK。人間ですから、能力に凸凹があるのは当たり前です。

凹が気になるときは、むしろ凸の部分に目を向けて、そちらを伸ばしてあげるように努めましょう。

 一番よくないのは、無理やり教え込むことです。「これくらいできなきゃダメだよ」と言って、知識を詰め込む。そうすれば、子どもはもちろん「1m=100cm」だということを言葉として覚えることはできます。

 でも、詰め込んだ知識は抜けやすいですし、子どもは勉強が嫌いになるのではないでしょうか。できないことを無理やりやらされるのは、誰だって辛いです。

*本記事は、『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(田邉亨著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。