あなたはAIの本質を見誤っていないか──。
こんな刺激的な書き出しで始まる書籍『エージェント型AI─ビジネス、働き方を一変させる協働知革命』。
本書は組織変革を目指すCEO、次代の業界標準となる企業を創ろうとしている起業家、新時代で成功したいと願うプロフェッショナルなど、さまざまなビジネスパーソンに「自律的に判断し行動するAI」への必要な理解と実践的なツールを提供する1冊です。
AI技術の進化は、私たちのビジネスや社会のあり方を大きく変えつつあります。「エージェント型AI」は、従来の生成AIをさらに発展させ、状況理解や意思決定、タスク実行を自律的に行う存在として期待されています。
エージェント型AIとは何か、その本質や技術的特徴、そしてビジネス現場での活用方法について、本書は理論と実践の双方から余すことなくお伝えします(フォーティエンスコンサルティング株式会社 デジタルトランスフォーメーション担当 マネージングディレクター : 里 泰志、フォーティエンスコンサルティング株式会社 デジタルトランスフォーメーション担当 シニアコンサルタント : 古川 尚史)。

なぜ今、エージェント型AIなのか
生成AIは、議事録作成や翻訳といったオフィス業務の一部で広く活用が進んでいます。
しかし、生成AIを活用してメールの作成やチャットボットの開発で足踏みしているのが現状ではないでしょうか。
効果は部分最適にとどまり、業務全体で本質的なビジネス効果を創出する段階には、未だ至っていないのです。
むしろ、特定業務の効率化が進んだ結果、人間が担う周辺作業が複雑化する「逆効果」が生じるケースも散見されます。
企業は最先端のAIに莫大な投資をする一方、期待とは異なり、システムの管理に多くの時間を費やすことも起こり得ます。
生成AIが見事なキャッチコピーを作り、画期的な製品アイデアを思いつき、高度な分析をするのに対し、人間はデータ入力やフォローアップなど、デジタルの機械的で反復的な作業に追いやられてしまうことになるのです。
本書の著者で、数多くの企業でAIと自動化の支援を手がけてきたパスカル・ボーネット氏はこう断じています。
「現在の生成AIは、完全に間違った形で進化してしまった。誰もこのことにほとんど気付いていないのが、皮肉で深刻な事態を招いている」
このようなAIが抱える課題を解決すると期待されているのが「エージェント型AI」です。
これは、応答するだけの生成AI、業務を自動化するだけのAIエージェントから進化し、人間と協働しながら新たなビジネスモデルも生み出す可能性を秘めた自律型AIです。
2024年以降、研究開発は世界的に加速し、2025年には実用化フェーズへと本格的に移行しつつあります。
とはいえ、企業側の活用はまだ限定的です。その背景には、
• 活用場面のイメージが持ちにくい
• 活用に向けた組織マインドセットやスキルを醸成しきれていない
• ハルシネーションや著作権・倫理リスクへの懸念
• ガバナンス・ルール整備の遅れ
など、複数の要因が存在します。
本書は、こうした課題に正面から向き合い、企業がどのように“部分最適から全体最適へ”シフトしていけるのかを包括的に解説しています。







