オープンハウスとGA technologiesPhoto by Kosuke Oneda

不動産大手オープンハウスが、競合会社に転職した元社員が「情報漏えい行為」を行ったとして、個人を相手取り損害賠償請求訴訟を起こしていたことが分かった。だが、その背景を探ると情報漏えいは名目であり、真の目的は競合への転職妨害と言わざるを得ない実態があった。オープンハウス現役社員が「大手投資銀行社員」に成り済まし、元社員に接触するといった異様な行為も発覚している。(フリーライター 村上 力)

荒井会長自らが慰留も…
元社員は競合の不動産新興に転職

 オープンハウスが2024年12月、米国不動産投資を扱うウェルス・マネジメント事業部に所属していた元社員の女性を「情報漏えい行為」を理由に提訴していたことが分かった。

 この女性は20年に入社し、オープンハウスで投資家向けに米国不動産投資のセミナー講師を務めるなど、同社の広告塔になっていた。だが、24年2月ごろから退職を検討。オープンハウス創業者で会長だった荒井正昭氏から慰留され、米ハワイに滞在するなどしていたものの、5月末に退職し、東証グロース上場の不動産会社GA technologiesに転職していた。

 するとオープンハウスは一転して、女性が「営業秘密の情報漏えい行為」を行ったとして、10月ごろから勤務先への内容証明郵便を送付するなどし、12月には女性個人を相手に、情報漏えい行為の調査にかかった労力などの名目で550万円を請求する訴訟を提起したのである。

 裁判資料などによれば、オープンハウス幹部が「自部署からはGAには死んでも行かせない」などと発言したとされ、執拗ともいえる転職妨害行為が浮かび上がる。その詳細を次ページで明らかにする。