住宅メーカー総力戦#1Photo by Takayuki Miyai

大和ハウス工業はハウスメーカーの中でも物流施設やホテルなど幅広い事業を手掛け、売上高も5兆円を突破している。今年4月には約7年ぶりとなるトップ交代があった。人件費や建材費の高騰などで建設業界を取り巻く経営環境が厳しくなる中、難局をどう乗り切っていくのか。特集『住宅メーカー総力戦』の本稿では、大友浩嗣新社長に詳しく聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 宮井貴之)

大和ハウスの新社長を直撃
国内売上高は年3%の成長目指す

――4月に大和ハウス工業の社長に就任して4カ月が経過しました。就任時、芳井敬一会長が海外事業を、大友浩嗣社長が国内事業を担当する方針を示しました。国内事業をどう強化していくのでしょうか。

 大和ハウスは海外事業が注目されがちですが、社長としては改めて国内事業をどう成長させるかということが命題だと考えています。北海道から沖縄まで事業所が計54カ所ある中で、地域の社会課題を解決しながら、売上高ベースで年3%以上の成長を果たしていきます。

――直近の2025年3月期連結決算では売上高、純利益ともに過去最高を更新しました。ただ、足元では人件費や建材費の高騰が続いています。

 好業績の要因は、これまでデータセンターや物流施設へのニーズなど社会課題に応じてビジネスモデルを柔軟に変化させてきたことに尽きます。

 人件費や建材費の高騰への対応では今後はストックビジネスを拡充していきます。18年に中古物件の売買やリフォーム事業を展開する「リブネス」というグループ統一のブランドを立ち上げました。住宅やマンションだけでなく、オフィスや工場などわれわれが取引してきた顧客との関係を再構築していくことでビジネスチャンスが拡大すると考えています。

――大和ハウスは4月に7つあった事業を住宅系の「ハウジング・ソリューション本部」と非住宅系の「ビジネス・ソリューション本部」の2つに再編しました。狙いや再編の効果について教えてください。

 それぞれの事業本部に人事や総務といった同じような機能が分散していました。統合することによって、間接部門の人員をより現場に近い場所に配置することが可能になり、人手不足の解消が期待できます。また、それぞれの事業のシナジー強化にもなります。さらに、用地取得の競争が激しくなる中で、土地や物件の情報が出たときにスムーズに共有化できるようにもなります。

――住宅事業に関して、今後の方針をお聞かせください。

大和ハウスは祖業である住宅事業については、分譲住宅の販売を強化しているが、金利の高まりや建設費用の高まりで成長鈍化懸念が広がりつつある。人口減少で国内の市場が縮小する中、積水ハウスや住友林業などとの競争にどう打ち勝っていくのか。次ページでは、大友社長に逆風下にある住宅事業を再成長させていく反転攻勢策に加え、成長著しいデータセンター事業や物流事業の見通しについても語ってもらった。