
大手住宅メーカーが米国などの海外市場進出へ積極的な中、中堅住宅メーカーは国内市場を主戦場とする。ただ、足元では人口減少で国内市場が縮小していることに加え、建材費や人件費の高騰という逆風が吹く。中堅各社はどうやってこの荒波を乗り越えようとしているのか。特集『住宅メーカー総力戦』の本稿では、「アキュラホーム」を展開し、4期連続で最高売上高を達成した中堅住宅メーカー、AQグループの加藤博昭新社長に生き残り戦略を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
AQグループ新社長が戦略を激白
独自の木造建築技術で生き残りへ
――首都圏のマンション価格高騰を受けて、マンションより価格を抑えられる戸建て住宅に注目が集まっています。建材費や人件費の上昇という課題がある中で、戸建て住宅の需要をどうやって取り込んでいく考えでしょうか。
私たちは創業以来、木造技術と注文住宅にこだわってきました。主要顧客である子育て世代にAQダイナミック構法という、強度を維持しながら空間を広く造れる独自技術を打ち出していきます。
コスパ(コストパフォーマンス)やタイパ(タイムパフォーマンス)を求める2000年代生まれのミレニアム世代向けには、営業経費や広告費を極力省いたセミオーダー型の注文住宅を用意しています。独自技術をベースにしたフルオーダーと、セミオーダーの二つの注文住宅で若い世代の需要に応えていきます。大手と比べるとまだまだシェアが高くないので、これから伸ばせる余地が十分にあるとみています。
――戸建て需要があるものの、以前と比べて国内規模は縮小しています。こうした市況の変化をどう分析していますか。
業界全体で販売棟数が落ちてきているので、各社とも富裕層向けに価格を上げて利益率を上げようとしているのが現状です。当社としては(付加価値のある)注文住宅を強化していきます。独自技術であるAQダイナミック構法で建てた住宅は、快適性だけでなく可変性も強みがあります。リフォームして再販することも可能です。
――建材費や人件費の高騰という課題に対してAQグループは今後どう取り組んでいく考えですか。
販売棟数の減少を受け、住宅メーカー各社は1棟当たりの単価を上げて利益率を上げようと取り組んでいるのが現状だ。だが、マーケットの縮小に対応するには限界がある。大手が海外市場に活路を見いだす中、中堅であるAQグループはどこに勝ち筋を見いだしているのか。次ページでは、加藤社長に独自の生き残り戦略について語ってもらった。