今年の冬休みはカレンダーの並びがよく、最大9連休になるところも多いのではないだろうか。そんなまとまった休みは、ふだんなかなかできないことに挑戦してみたい。忙しくて手が付けられなかった分厚い本を開いてみるのもいいのではないだろうか。2025年に刊行された本の中で、400ページを超える本格ノンフィクションとして感動の声が続々と上がっている作品がある。『心に折れない刀を持て ジャングリア沖縄、誕生までの挫折と成長の物語』森岡毅(ダイヤモンド社)である。読者の声をまとめてみた。(構成・亀井史夫)

冬休みにじっくり読みたい、怒涛の展開でページをめくる手が止まらなくなる胸アツ本とは?Photo: Adobe Stock

涙なしに読めない挑戦の物語

『心に折れない刀を持て ジャングリア沖縄、誕生までの挫折と成長の物語』森岡毅(ダイヤモンド社)は、USJでの沖縄テーマパーク計画とん挫から始まり、株式会社 刀の立ち上げ、仕事に恵まれず地べたをはい回る初期、コロナ禍やウクライナ侵攻に翻弄される資金集めの苦難の日々などを経て、ジャングリア沖縄が誕生するまでの過程を描いたノンフィクション作品である。壮絶な展開が連続するノンフィクション作品としての面白さに引き込まれた、過酷な運命にもくじけず挑戦する著者に勇気をもらったという声が多く聞かれた。

「ジャングリアオープンまでに立ちはだかる様々な困難に、仲間たちと果敢に立ち向かう姿は涙なしに読めませんでした。こんなにも泥臭く、人間臭く、人と人とのつながりを大事にされた仕事ぶりは、メディアで拝見する姿からは想像できませんでした。」しま@出版社営業マン

「著者、刀のメンバーのジャングリアに懸ける強い想い、情熱に感情移入しながら読めて良かった。仕事へのやる気を失っている方、転職したいが何に挑戦すればよいのか迷っている方、挑戦からの逃げ癖がある方に特に響くと思います。私は、仕事を辞め未経験のことを始めるのに凄く恐怖心がありましたが、覚悟を決めて挑戦する勇気をいただけました。後悔の少ない仕事選びをしたいと考えています」匿名希望・会社員

「『心に折れない刀を持て』を読んで痺れている。森岡さんが、USJ時代に、沖縄テーマパークを成し遂げようとしたけど、USJが成功しすぎて、資本主義に負け、頓挫したこと。創業して数ヵ月は仕事が一切なく、給与も仲間に払えず、やっと決まった仕事は全て破棄されてしまったこと。そして、普通の経営者であれば受け取るであろう甘い蜜を全て断り、こだわりを持って、自分たちの仕事を磨き続けたこと。結果として、西武園ゆうえんちの再建やネスタリゾート神戸の仕事に繋がり、やっとの思いでジャングリア沖縄を開業したこと。こんなにアツイ本を読んだのは久しぶりだ。まるで映画を観ているような感覚。経営者として、胸が昂り、すぐにでも仕事をしたくなるような本。全ビジネスパーソンが読んだ方が良い。」玉田 響/Hibiki Tamada

「『心に折れない刀を持て』、読んでて本当に面白かった。あれだけの実績を持つ森岡さんでさえ、6ヵ月も受注が取れなかったという話には驚かされた。どんなに優秀な人でも、結果が出ない期間はあるし、うまくいかないことはある。でも、そこで折れずに動き続ける胆力こそが、最終的に突破口を開くんだなと改めて実感。成果が出る人と出ない人の差って、スキルよりも“耐える力”や“続ける力”の方が大きいのかもしれない。勇気をもらえる一冊だった。」中辻仁@公認会計士×ファンドアドミ×スタートアップ

挑戦とは、圧倒的な逆風の中で大義を掲げて進んでいくこと

 2025年7月にジャングリア沖縄はオープンした。一時期ネットを騒がせたように、そのスタートは順調なものではなかった。心無い批判も見られた。しかしそれは、挑戦者にとっての常なのかもしれない。

「マーケター・森岡毅さんの挑戦は、USJの目覚ましい発展から追えていませんでしたが、ニュースや話題になるたびに、そこには森岡毅さんの存在があり、驚かされてきました。
例えば、「西武園ゆうえんち」が“懐かしい昭和の世界”というテーマでリニューアルされたことを知ったり。イマーシブ・フォート東京がライブ・エンターテイメント施設として話題になったときにも、心が惹かれました。どれも「行ってみたい!」と思わせてくれる場所ばかりで、その背後には、森岡さん率いる会社「刀」の存在が!
さらに「ジャングリア沖縄」って海外の企業がオープンするのかな?と思っていたら、そこも「刀」!? 面白そうと思うコンテンツを生み出す森岡さんが気になって仕方ない!
そのタイミングで、こちらの本に出会いました。なぜUSJを離れて「刀」を創業し、数々の事業を生まれ変わらせてきたのか? 集結したのは、森岡さんとかつて仕事を共にした超一流の仲間のみなさんでした。彼の信念と「沖縄にテーマパークを」という大義のもと、全力でプロの仕事に徹していきます。
ページをめくるほど、これまで知らなかった驚愕の事実が胸に迫ってきました。ジャングリア沖縄のオープンに向けた、スタートアップ企業の無謀とも思える挑戦。ここぞという時に、何度となく訪れる残酷な試練! コロナ禍やロシアとウクライナの有事など、天の采配とも言えるような運命に翻弄されつつ、身も心もギリギリな状況で不可能を可能にする挑戦に立ち向かいます。
森岡さんの文章は熱く臨場感があって、お人柄や息遣い、熱量を間近で感じるようでした。何度も感情が揺さぶられ、一緒に熱くなったり、悲しくなったり、感動したり! マーケターの森岡さんは文章の表現力も素晴らしかったです。
ジャングリア沖縄のオープンもありえないようなタイミングで台風が来たり、トラブルがあったようです。この本を読むと、ジャングリア沖縄はこれからどんどん面白くワクワクするようなテーマパークになるのだと期待感が高まります!
こんなに感動して、現実に夢を見させてくれるビジネス本は、他に類を見ないです。私が今年読んだ本の中でも、間違いなくトップに入ります。普段ビジネス書なんか読まない!という方にこそおすすめしたいです! 小説好きな方にも刺さると思います。本著を読んで脳内冒険してみてください。」
森本木林@読書研究家・書評家

「凄い本だった。まず、森岡毅さんの今まで他の本に書いてあったやり方が実際にどのように使われているのか、どのようになっていったのかということが、書かれている。ストーリー的に小説のように面白い、続きが気になるところもあれば、その中で勉強になるところもある。
特に最後の資金調達の所は物語的にも面白かったし、自分も熱くなれる。リーダーとは、自分が挫けそうな時はどのようにいればいいのか、学べる本でもある。
これは、時間のながれに沿って、ジャングリア完成までの経緯が書かれている本だが、単純にどのような経緯をもってできたのか書かれている訳ではない。情熱と理論が文章の中に入っている。
そして、森岡毅さんは、一見理論だけであるかのように思われることもあるかもしれない。ただ、この人には、情熱がある。人を動かす情熱である。
情熱を実現するために様々な理論を使っている。
冷静に考えている。まさに、情熱と理論を兼ね備えている。
そして、弱い。しっかりと弱い部分もこの本には書いてある。決して成功だらけの物語や、他者から見えた苦悩だけが書かれている訳では無いところもこの本の重要な部分である。自分が体験した辛さが書かれているからこそ、本当に辛い、本当に弱い部分があるというところがしっかりと伝わる。
<中略>
コロナ渦や戦争など予期できないものが生じた時こそ、今までの自分たちがやってきた強みを活かして、何か出来ることがないか探す事がとても大事なのであると思った。コロナ渦が無くなる予想を自分たちが得意な確率を使って予測し、希望を持たせるという展開は激アツ展開だった。
ただ、予測してない事態が起こったときこそ、自分たちに出来ることは何か考え、全力でやり、応用させる力がとても大事なのだと思った。
最後に私は本書に書いてあったこの言葉を今後も常に意識して過ごしていきたい。
やれる精一杯を最大限やれているか? ここだけが重要である。
どんな時も、諦めて少し手加減したり甘えてはいけない。
これはどんな状況に置いても普遍的に問える、ことであるだろう。
どんな状況でもどんな環境でも、やれる精一杯を最大限やり、目的をしっかり見極め、最後の最後まで自分のできることをやり尽くし、諦めずに、後悔しない人生を過ごしたい。成功か、失敗という他人の評価ではなく、決して誰にも奪うことは出来ない自分の実績として、最後の最後まで諦めずに、成功の確率を1%でも上げるような人生を過ごしたい。いや、過ごす。」
としき

 最後に、『心に折れない刀を持て』の中で最も心に残る文章を引用して終わりたい。

 人は失敗しないから挑戦するのではない。失敗しても、後悔だけはしたくないと強く願うからこそ、未知の領域へと足を踏み出すことができるのだ。