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米自動車メーカー各社は現在、利幅が大きくてガソリンを大量に消費する車を販売することで利益を押し上げたいと考えている。その一方で、電気自動車(EV)技術で遅れを取らないようにしたいとも思っている。だが、両方を実現するのは困難だろう。
今年の規制変更のリストを見ると、米自動車メーカーが大型SUV(スポーツタイプ多目的車)やトラックの販売に傾倒しないことはほぼ不可能だ。自動車メーカーは、米連邦政府の燃費基準を満たさなかったことに対する罰則に直面しなくなった。この基準自体も、より緩やかなものに改定されつつある。EV購入に対する7500ドル(約120万円)の税額控除は失効した。カリフォルニア州はEV投資の大きな推進力となっていた独自の排ガス基準を設定する能力を失った。ブルームバーグNEFは、2025年10-12月期の米国でのEV販売台数が前年同期比で24%減少すると予測している。
これは米国だけではない。欧州連合(EU)、英国、カナダはいずれも野心的なEV義務化を撤回したり、見直したりしている。
ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、ステランティスは全て、より高い利益を生み出すガソリン車モデルへと販売構成をシフトするとしている。各社はEV工場で数千人の労働者を解雇しており、一部の工場は操業を停止している。ジャストインタイム生産を行うこのセクターにとって、生産を需要に合わせることは極めて重要だ。RBCキャピタル・マーケッツの株式アナリスト、トム・ナラヤン氏は、1四半期でも需給のミスマッチが起きれば、数十億ドルの損失につながる可能性があると指摘する。








