トランプ関税の影響予測は誰もが大外れ チャートで見るPhoto:Anna Moneymaker/gettyimages

 ドナルド・トランプ米大統領が4月に「解放の日」と銘打ち、相互関税を発表した直後、トランプ氏自身の楽観的な見方と、貿易専門家やエコノミストの悲惨な予測との対比が際立っていた。

 企業や消費者がまちまちのメッセージを解き明かそうとする中、トランプ氏は2024年の選挙戦中に行った公約を改めて強調した。「市場は好況となり、株価は膨れ上がり、米国は好景気になる」。同氏は4月3日にこう述べた。

 一方、エコノミストや企業経営者は副作用が起きるとの見方を強めた。米資産運用大手ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は「私が話をする大半のCEOは、恐らく今すでに景気は後退していると言うだろう」と語った。JPモルガン・チェースは世界全体が景気後退に陥る可能性さえあると述べた。

 だが経済の崩壊は現実に起きておらず、経済の復活も起きていない。

 米政府データの多くは発表が遅れているが、これまでに判明した数字では、米経済が持ちこたえていることが分かる。今後1年以内に景気後退に陥る確率は25%を割り込んでいる。

 トランプ氏の関税収入を巡る公約はある程度実現したが、他の公約のほとんどは不発に終わっている。米国への本格的なリショアリング(国内回帰)を示す証拠は見当たらない。外国の安い労働力が引き続き外国メーカーに優位性を与える一方、関税を巡る国内の不透明感のせいで、企業は多額の投資をしたり、生産拠点を国内に戻したりするのを控えている。

 米経済に関してトランプ氏やホワイトハウス、エコノミスト、企業経営者が行った六つの大胆な経済予測と、実際に何が起きたか、次に何が起こる可能性があるかを、以下で見ていこう。