
名だたる大企業やスタートアップから新規事業開発の支援依頼が舞い込み、その支援実績は400件超。事業領域もロボットやモビリティ、バイオ、宇宙など多岐にわたり、大学や研究機関との協業も数多い。大ヒット小説『下町ロケット』をほうふつとさせる異色の“町工場”が、東京・墨田区の浜野製作所だ。(取材・文/大沢玲子)
代表取締役会長CEO・浜野慶一氏
同社は1968年、金属金型製造からスタート。93年、創業者である父の逝去に伴い、現在、代表取締役会長CEOを務める浜野慶一氏が社長に就任する。海外との価格競争激化など事業環境の変化を受け、「従来の量産型から少量多品種の精密板金加工にかじを切りながら、請負事業からの脱却に向けた事業モデルの変革に取り組んでいきました」(浜野氏)。
2000年の近隣の火災のもらい火により本社兼工場が全焼するという不運も乗り越え、レーザー加工、CAD/CAMシステムなど最新鋭の設備を積極的に導入。少量多品種生産に応えられる多様な加工技術を磨き、さらに設計・開発などの上流工程から一気通貫でものづくりを手がける高付加価値型事業モデルを目指していく。
東京の地の利を生かし
共創型製造業を展開
2000年代前半からは、墨田区や早稲田大学、区内中小企業と連携した電気自動車「HOKUSAI」など、産学連携プロジェクトに参画。海洋研究開発機構や大学、東京東信用金庫などと組んだ深海探査艇開発にも携わり、「長期スパンでのプロジェクトに関わることで開発・設計手法や先端技術、プロジェクト管理、予算管理といった多様な知見を擁す人材の育成を進めていきました」(浜野氏)。
こうした蓄積を経て、遠隔操作型コミュニケーションロボット「OriHime」で知られるオリィ研究所など、今や著名なスタートアップからの依頼を受け、開発の支援を実践していく。







