(左)産学官金連携で開発した電気自動車「HOKUSAI」。(右)同じ区にあるストリーモ社が手がける電動マイクロモビリティ「Striemo」の開発を支援
数々の支援体験をスキーム化し、14年には、ものづくり開発拠点「Garage Sumida」を自社敷地内にオープンした。同社が培ってきたノウハウを生かし、「0を1にする開発を圧倒的スピードで実現し、事業計画や資金調達なども含めた総合的な支援をできるのが強みです」(浜野氏)。多様な支援実績が評価され、大企業との協業も増え、国家規模のプロジェクトへの参画も果たす。
同社がGarage Sumidaで目指すのは、研究者やスタートアップが持つイノベーティブな発想、町工場ならではのスピード感、大企業の量産能力や効率化といった、それぞれの得意領域を生かした共創型製造業プラットフォームの実現だ。
東京は生産拠点としてはコスト高などのデメリットがある一方、「決裁権を持つ大企業本社、公的研究機関や大学、インキュベーション施設など、他にはない資産が多く位置します」と浜野氏は指摘。この地の利を生かしつつ、協業による高付加価値型モデルへのシフトにこそ中小メーカーにとっての勝算があるとする。
墨田区のものづくりを
盛り上げる施策も展開
本社2階にある、共創拠点「Garage Sumida」のオープンラウンジ。ミーティングやセミナー、交流イベントが開かれる
「ものづくりのまち」として知られる地元・墨田区も全盛期の約4分の1に工場数が激減し、事業承継等の課題も抱える。 その課題解決に向け、浜野氏は工場見学やワークショップ、物販などを行うイベント「すみだファクトリーめぐり(スミファ)」を企画。12年にスタートし、今や全国から多くの人々が視察に訪れるイベントに成長した。持続可能な運営を目指し、22年より東京東信用金庫が事務局を担い、業種・規模を超えた企業の連携強化につながっている。
今後も世界1位の科学技術クラスターを擁すという東京エリアの利点を生かし、「業種業界を超えた新たな価値創出を担う共創連携を進め、世界中の“ものづくり開発特区”を実現し、この国の稼ぐ力の向上に貢献する構想を描いています」と意気込む。日本のものづくりをけん引する規格外の町工場の躍進に期待したい。
(「しんきん経営情報」2026年1月号掲載、協力/東京東信用金庫)
事業内容:ロボット・装置の設計・開発、精密板金加工、筐体設計製作、機械加工など
従業員数:48人
所在地:東京都墨田区八広4‐39‐7
電話:03‐5631‐9111
URL:hamano-products.co.jp







