上野の飼育係が貨物専用機に同乗できるか

 成都空港には定刻よりも10分早い、同日現地時間17時15分に到着。空港保税蔵置場内で「中国ジャイアントパンダ保護研究センター(CCRCGP)」への引渡しが完了し、輸入通関の上で、CCRCGPが手配した車両に載せられ、18時50分に空港を出発した。そして、空港から南西に100kmほど進んだ「CCRCGP雅安碧峰峡基地」には同日22時06分に無事到着した。

 今後の飼育施設については現時点(2月28日)で未定ではあるが、同基地での検疫後に繁殖準備に入るという。

 今回の輸送を担当した、阪急阪神エクスプレス動物輸送チームの南節(みなみ・たかし)・東日本輸入営業部営業一課課長は、「コロナ禍の影響で2020年から5回延期し、ようやく実施に至ったこともあって感慨もひとしお。特に、上野動物園の飼育係がチャーター手配の貨物専用機に同乗できるか否かには最も労力を費やし、上野動物園と航空会社の協力を得て、申請当時ゼロコロナ政策下にあった中国でも同乗が実現した。その結果、シャンシャンにストレスを与えることなく安全に輸送することができた」と説明する。

 同社では1972年のカンカン・ランラン初来日以降、歴代ジャイントパンダの日中間国際輸送や、繁殖のための国際間輸送を一貫して支援してきた。2011年2月21日には、シャンシャンの両親であるリーリーとシンシンが上野動物園に到着。今回、2頭の来日と同じ日に、シャンシャンを両親の故郷へと送り届けることになり、「時の流れを実感するとともに不思議な縁やきずなを感じる」という。

 阪急阪神エクスプレスでは「動物輸送のパイオニアとして、これまでの経験と実績を活かしながら、輸送を通じて世界の繁殖プロジェクトを支援し、絶滅危惧種の保護、生物多様性の保全に協力していく」とした上で「シャンシャンが素敵なお母さんになることを、関係者一同、願っている」とのコメントを寄せている。

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