「持論」を編みなおす
本間:たとえば、これまでずっとトップダウン型のリーダーをやってきた人っているじゃないですか。だけど、ある年齢になって、それでは無理だと思ってボトムアップ型に変えたりするわけだよね。多くのリーダーたちは、「ずっとトップダウンできたんだから、今さらボトムダウンじゃ無理だ」とかいう人がいるわけです。ではそういう人が成果を上げているかというと、実はそうでもなかったりする。
そういう時に、ある程度自分のリーダーシップの持論がしみついてきた人が、もう一度それを編みなおすという意味でベテランリーダーこそこういう本を読むのはいいかもしれない。
鈴木:「だからあの時うまくいったんだな」とか、「あんまり考えてなかったことだから、うまくいったのは運がよかったな」とか。そうやって自分の経験を相対化することができる時間になるといいなと思います。それは決して「持論を作る」って話ではないと思う。
本間:だから、「この本を読んだらすぐによいリーダーシップを使えるようになるか」っていうと、そういうものではないと思う。ただ同時に、これを身につければ相当面白いことが起こるだろうなとも思う。
(本稿は、鈴木竜太教授の新刊『リーダーシップの科学』の発売を記念した特別対談です)
神戸大学大学院経営学研究科教授。1971年生まれ。1994年神戸大学経営学部卒業。ノースカロライナ大学客員研究員、静岡県立大学経営情報学部専任講師を経て、現職。専門分野は経営組織論、組織行動論、経営管理論。主な著書に『組織と個人』(白桃書房:経営行動科学学会優秀研究賞)、『自律する組織人』(生産性出版)、『関わりあう職場のマネジメント』(有斐閣)、『(はじめての経営学)経営組織論』(東洋経済新報社)。共著に『組織行動』(有斐閣)。共編著に『お仕事マンガの経営学』(有斐閣)などがある。
本間浩輔(ほんま・こうすけ)
・パーソル総合研究所取締役会長
・朝日新聞社取締役(社外)
・環太平洋大学教授 ほか
1968年神奈川県生まれ。早稲田大学卒業後、野村総合研究所に入社。2000年スポーツナビの創業に参画。同社がヤフーに傘下入りしたあと、人事担当執行役員、取締役常務執行役員(コーポレート管掌)、Zホールディングス執行役員、Zホールディングスシニアアドバイザーを経て、2024年4月に独立。企業の人材育成や1on1の導入指導に携わる。立教大学大学院経営学専攻リーダーシップ開発コース客員教授、公益財団法人スポーツヒューマンキャピタル代表理事。神戸大学MBA、筑波大学大学院教育学専修(カウンセリング専攻)、同大学院体育学研究科(体育方法学)修了。著書に『増補改訂版 ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』(ダイヤモンド社)、『1on1ミーティング 「対話の質」が組織の強さを決める』(吉澤幸太氏との共著、ダイヤモンド社)、『会社の中はジレンマだらけ 現場マネジャー「決断」のトレーニング』(中原淳・立教大学教授との共著、光文社新書)、『残業の9割はいらない ヤフーが実践する幸せな働き方』(光文社新書)がある。










