美術館に行っても「きれい」「すごい」「ヤバい」という感想しか出てこない。でも、もっと美術を楽しめるようになりたい。そう思ったことはありませんか?
「こやぎ先生」としても活躍する、ご指名殺到の美術旅行添乗員・山上やすお氏の書籍『死ぬまでに観に行きたい世界の超絶美術を1冊でめぐる旅』から「マジですごい」超絶美術をご案内します。
『死ぬまでに観に行きたい世界の超絶美術を1冊でめぐる旅』より
「ヴィーナスの勝利」
ではここからはスウェーデン国立美術館の作品をご覧いただきましょう。こちらはフランスの画家フランソワ・ブーシェによる「ヴィーナスの勝利」という作品です。
――おお~~~、これはなかなかの迫力ですね! そして…、なんというか目のやり場に困る絵ですね(汗)。
でしょう(笑)。この絵の時代のことをロココ時代と言うんですが、「ザ・ロココ☆」というくらいの作品だったので、取り上げてみました。
――ほほう、それはズバリどんな絵なのでしょう?
はい、一言で言うと「登場人物が全員叶姉妹みたいな絵」です!!
――わ…わかりやすい…!! 確かに全員、あの妖艶さに溢れていますな(笑)。
でしょ(笑)? ロココというのはフランス革命以前に流行した、超貴族趣味の時代のことで、恋愛やエロスをテーマにした作品が描かれました。貴族が好きそうな軽やかなもの、甘美なもの、エッチなものが好まれたんですよ。有名なところでは、マリー・アントワネットなんて「ロココの女王」と呼ばれることがありますね。
――ロココの女王! さすがマリー・アントワネット様ですな。
そうでしょ? (笑)。まぁフランス革命で「なにチャラチャラしとんじゃ、ワレ~!!」と市民たちから攻撃されて一旦姿を消しました。しかし、やっぱり美しいのは美しいので、今でもロココ調のものは一定の人気がありますね。
――まぁなんかわかります! 色使いもパステル調で明るいし、裸の女性たちはきれいだし、なんていうか…この悩みなんて何一つなさそうなところがいいですね(笑)。
そうなんです! ロココの作品はエロくて軽くてなんぼ。内容なんて特にないんです。でも「きれいだからいいじゃない、アハ☆」っていうマインドもロココなんだと思いますよ♪
――なるほどねぇ…。この画家はこういう絵が得意だったんですか?
はい、ブーシェはロココ時代に「さわやかなエロ」で絶大な支持を得ました。「ロココの帝王」とまで呼ばれて、もてはやされたんですよ!
――「さわやか」と「エロ」が融合する日が来るだなんて(汗)! 「帝王」と呼ばれるくらいだから、さぞ成功したんでしょうね!
そうですね、引く手あまたの画家だったことは間違いありません! ただ、先ほどもお話ししたようにフランス革命でロココ時代が終焉を迎えると、ブーシェはその作品だけでなく人格までをも否定されました…。晩年はかなり寂しいものだったようですよ…。
――そんな…。われらのエロ隊長が…。
その呼び方やめてあげて(涙)。
(本記事は『死ぬまでに観に行きたい世界の超絶美術を1冊でめぐる旅』の一部を抜粋・編集し作成しました)











