なぜあの人は株で負けないのか? アカデミアが解き明かした「最強の最適解」
ゴールドマン・サックスに入社し、マネージング・ディレクターに就任、アジアのトレーディングチームを率いた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)。投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」や「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法、有望な個別株の見つけ方まで、「オルカン」「S&P500」の“次に知るべき”ノウハウが満載!
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アカデミアが解き明かす
「投資の聖杯」
アカデミア(ファイナンスや会計の学会)でも、短中期の投資で超過リターンを出すにはどうすればいいかということは論じられてきました。
「超過リターン」とは、投資家がとるリスクに見合うリターンを超えるリターンのことです。投資の必勝パターンを見つけようと、さまざまな投資戦略の研究や実証分析が行われてきたのです。
実務家から研究の道へ
知られざる理論との邂逅
私がこうしたアカデミアで論じられてきていることを知り、本格的に論文を読みあさるようになったのは、15年勤めたゴールドマン・サックスを退職して早稲田大学大学院ファイナンス研究科に入学してからです。
あらためて座学で投資の世界を見つめ直すことができたのですが、「もっと早く知っておけばよかった」と思うことがいくつもありました。
アカデミアの世界で最も有名なのは、2013年にノーベル経済学賞を受賞した米シカゴ大学教授のユージン・ファーマ氏らが提唱した「3ファクターモデル」という学説です。
【解説】ノーベル賞が認めた
市場を支配する「3つの法則」
この「3ファクターモデル」こそ、感覚的に捉えていた「中小型株の優位性」を、数学的・統計的な裏付けによって証明した金字塔といえるものです。
多くの投資家は「市場平均(TOPIXなど)に対してどう動くか」という点ばかりを重視してきました。しかし、ファーマ教授は、それ以外にもリターンを決定づける「特定の要因(ファクター)」が存在することを突き止めたのです。
「小型株効果」という
科学的なお墨付き
3ファクターモデルが示した一つ目の重要な要素は、「サイズ(時価総額)因子」です。統計的に見て、時価総額が小さい銘柄(中小型株)は、時価総額が大きい銘柄に比べて、長期的には高いリターンをもたらす傾向があることが証明されました。これを「小型株効果」と呼びます。
これは、「プロが参入できない流動性の低さ」や「情報の少なさ」といったリスクを負うことへの、市場からの「報酬」と考えることができます。つまり、中小型株を選ぶという行為は、科学的に見ても合理的で報われやすい戦略なのです。
「バリュー(割安性)」がもたらす
もう一つの追い風
二つ目の要素は、「バリュー因子」です。PBR(株価純資産倍率)などが低く、企業の資産価値に対して株価が割安に放置されている銘柄ほど、将来的に高い超過リターンを生み出しやすいという事実です。
中小型株市場には、アナリストの目が届かないがゆえに、驚くほど低いPBRで放置されている優良企業が数多く存在します。「小型株 × バリュー」という組み合わせは、まさにアカデミアが導き出した「勝率を高めるための最適解」の一つといえるでしょう。
運を「確信」に変える理論の力
個人投資家にとって最大の敵は「自分の判断が正しいのか」という不安です。しかし、これらの理論を知ることで、一時的な株価の変動に一喜一憂せず、「自分は今、理論的に裏付けられた期待リターンの高い領域に投資している」という強い確信を持つことができます。
学問が解き明かした「投資の聖杯」は、決して“魔法の杖”ではありません。しかし、それを理解して実践する者と、ただ闇雲に売買する者との間には、数年後に埋めがたい資産の差となって現れるはずです。
※本稿は『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。











