北海道の苫小牧東部国家石油備蓄基地北海道の苫小牧東部国家石油備蓄基地[JOGMEC提供] Photo:JIJI

原油備蓄放出始まる、12月初旬頃までに
海峡封鎖が解除されていれば、供給途絶はない

 アメリカとイスラエルによるイラン攻撃を機にした中東情勢の緊迫は、イラン側の反撃もあって、原油輸送の要路であるホルムズ海峡が事実上、封鎖されることになり、世界を巻き込む事態になった。

 原油の供給不安や原油価格高騰で、1970年代の石油ショックの再来ととらえる見方もあるが、当時と違うのは、原油備蓄があることだ。

 政府は、G7との協調行動として3月16日から備蓄原油の放出を始めたが、いまの官民の原油備蓄量や東南アジアなど、中東以外からの輸入量をもとにすると、12月初旬頃までにホルムズ閉鎖が解除されていれば、供給途絶はない。

 中東情勢の展開はなお読めないが、政府が対応をまず考えるべきは、供給不安よりも、備蓄が限られている天然ガスを含めたエネルギー価格高騰への対応だ。

 当面の問題として、コストプッシュ型のインフレが懸念される中で、物価対策としてかかげる「消費税減税」は意味をもたなくなる。

 ホルムズ海峡での航行回復にタンカー護衛の協力要請にどう対応するかという問題は難しい政治判断になるが、価格高騰への対応を中心に冷静な対応をすれば、深刻な事態を避けられる可能性もある。

 中期的には脱炭素を軸に据えてきたエネルギー政策を、コストの面でどのように見直し、また経済安全保障の観点をどう盛り込むのかという議論をより深める必要がある。