『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』は、東大・京大・早慶・旧帝大・GMARCHへ推薦入試で進学した学生の志望理由書1万件以上を分析し、合格者に共通する“子どもを伸ばす10の力”を明らかにした一冊です。「偏差値や受験難易度だけで語られがちだった子育てに新しい視点を取り入れてほしい」こう語る著者は、推薦入試専門塾リザプロ代表の孫辰洋氏で、推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営も行っています。今回は、将来の受験に役立つ12歳からの「習い事」について解説します。
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将来の受験に役立つ「習い事」とは?
「小さいうちに、どんな習い事をさせたら、将来、推薦入試で合格できるようになりますか?」
この質問を、私は本当によく受けます。親御さんとしては当然の疑問だと思います。できることなら、早いうちから「将来につながる選択」をしておきたい。無駄なことはさせたくない。そう思うのは自然です。
ただ、結論から言うと、この問いに対して「これをやれば推薦で受かります」と言える習い事は、ほとんど存在しません。
たとえば、「小さい頃に理科の実験教室に通っていたから理系で合格できた」とか、「幼少期から英語をやっていたから国際系の学部に受かった」といった、分かりやすい因果関係を期待する方もいます。でも、現場で見ている限り、正直に言って、そうした直線的な因果関係はほとんどありません。
推薦入試で評価されるのは、「いつからそれをやっていたか」ではなく、「その経験をどう捉え、どう深めてきたか」です。小さい頃にやっていた習い事が、そのまま将来の専攻に直結するケースは、ごく一部ですし、むしろ多くの場合、「やっていたけれど、本人はほとんど覚えていない」「親に言われて通っていただけ」という扱いになってしまいます。それでは、入試では何の武器にもなりません。
本人のやる気がある習い事は将来につながりやすい
もちろん、例外はあります。それは、子ども自身がやりたいと思っている場合です。本人が夢中になっていること、楽しくて仕方がないこと、もっと知りたいと思っていることなら、それが何であっても、やらせた方がいいと思います。ピアノでも、昆虫採集でも、プログラミングでも、ダンスでも構いません。重要なのは内容ではなく、「自分で選んで続けている」という事実です。
逆に、「将来のためになるから」という理由だけで選ばれた習い事は、たとえ内容が立派でも、後から振り返ったときに、本人の言葉で語れる経験になりにくいのが現実です。
強いて一つだけ挙げるとしたら
それはそれとして、強いてひとつだけ、あえて挙げるとするならば、私は「運動」を勧めます。
これは、進路の専門性とはまったく関係ないように聞こえるかもしれません。でも、推薦入試の現場を知っている立場から言うと、体力がないと推薦合格はかなり厳しい、というのが正直な実感です。
推薦入試の準備は、想像以上に体力を使います。人に会い、話を聞き、移動し、資料を読み、文章を書き、学校の勉強とも両立する。その過程は、精神力だけでは乗り切れません。体調を崩しやすい子、疲れやすい子は、どうしても不利になります。
実際、運動習慣がある子のほうが、最後まで踏ん張れるケースが多い。運動部でなくても構いませんが、日常的に体を動かし、体力のベースがあるかどうかは、推薦入試において見えないけれど大きな差になります。
だから私は、「この習い事をやれば合格できる」という発想よりも、「子どもがやりたいことを尊重しつつ、体力の土台だけは作っておく」という考え方を勧めています。
将来につながるかどうかは、親が決めるものではありません。子どもがその経験をどう意味づけ、どう語れるかで決まります。その余力を支える意味でも、体を動かす習慣だけは、早いうちから持っておいて損はないと思います。
(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』を元に作成したオリジナル記事です)




