職場には「悩みを抱えがちな人」と「全然悩まない人」がいる。一体、何が違うのだろうか?
そのヒントを教えてくれるのが、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている「悩み解消」のスペシャリスト、北の達人コーポレーション社長・木下勝寿氏の新刊『「悩まない人」の考え方』だ。今回は、仕事の現場でよくある悩みやトラブルに対する、木下氏の回答を紹介する。(聞き手/『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者 安達裕哉氏、構成/ダイヤモンド社コンテンツビジネス部)

上司との「認識のズレ」はすぐ修正すべき
――上司から「無理難題」を振られて困っている部下は、世の中にたくさんいると思います。木下さんが部下だったら、どのように対処しますか?
木下勝寿(以下、木下) 本書でも書いたのですが、「なぜ無理難題を振ってくるのか」を、上司の立場で考えてみることが大事です。そうすると、多くの場合、上司がその仕事を「無理難題だと考えていない」ということがわかります。
これは、本当によくある話です。一方で、部下側は同じ仕事を無理難題だと捉えているわけですから、「認識をすり合わせる」ための対話が不可欠になります。とりあえず、「これは無理難題だな」と感じたら、すぐ上司に相談しましょう。
上司が無理難題だと考えていない理由としては、その仕事に必要なスキルが部下に足りていないことに気づいていなかったり、上司自身がその仕事の難易度を正しく把握できていなかったりする場合が往々にしてあります。
「無理だ」と思い込む前に、きちんと調べよう
木下 逆に、部下がその仕事のやり方を難しく考えすぎているケースもあります。また、きちんとリサーチしないまま「無理だ」と思い込んでいることも多いです。
――本書でも、「調べる」という作業の重要性を指摘されていましたね。
木下 そうですね。私なんかは、30歳くらいでインターネットが普及し始めた世代で、「ネットで調べれば何でもわかる」という時代が来たとき、本当に驚きました。なので、ネットが使えることのありがたさをいまもすごく感じますし、「調べないと損だ」と思っています。
一方で、子どもや学生のうちからインターネットが身近だった世代は、いまの40~50代ほどにはそのありがたみを実感しづらい。だから、意外に全然調べないんですよね。
でも、自分が「無理難題だ」と思っている仕事を、別の会社が既にやっているのであれば、その事例をきちんと調べるべきです。調べたうえで、同じメソッドが自社でできないなら、そのときは諦めてもいいかもしれません。
インターネットという便利なツールがあるわけですから、早々に無理難題だと決めつけずに、上司が納得するまで「徹底的に調べる」というのも、社会人として必須のスキルだと私は思いますね。
(本稿は、『「悩まない人」の考え方』の著者・木下勝寿氏へのインタビューをもとに構成しました)