職場には「悩みを抱えがちな人」「全然悩まない人」がいる。一体、何が違うのだろうか?
そのヒントを教えてくれるのが、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている「悩み解消」のスペシャリスト、北の達人コーポレーション社長・木下勝寿氏の新刊『「悩まない人」の考え方』だ。今回は、仕事の現場でよくある悩みやトラブルに対する、木下氏の回答を紹介する。(聞き手/『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者 安達裕哉氏、構成/ダイヤモンド社コンテンツビジネス部)

職場にいる「本当に嫌いな人」でメンタルを消耗しない“接し方のコツ”ベスト1Photo:Adobe Stock

「本当に嫌いな人」でメンタルを消耗しない“接し方のコツ”

――「本当に嫌いな人」と、どうしても仕事で接さないといけないとき、何かいい対処法はありますか?

木下勝寿(以下、木下) 自分の立場にもよりますが、1つの手段として、相手のことを「好きになろうとする」もしくは「嫌いではない状態になろうとする」というのは試す価値があると思います。

 もちろん、馬が合わない人がいるのは当たり前ですが、まわりに嫌いな人がいる状態は、誰にとっても不愉快です。それとは反対に、自分が「嫌いな人がいない人間」になれたら、ものすごく幸せなはずなんです。

 では、そういう人になるために具体的にどうすればいいか。その相手が自分にとって、なぜそんなに嫌なのかを理解する必要があります。このとき大事なのが、「観察→置き換え→憑依」という3ステップです。

――それぞれどういうことでしょうか。

木下 「観察」とは文字通り、理解したい人を観察することです。なるべく客観的に見ることで、相手の行動パターンを把握することができます。

 次の「置き換え」は、相手と同じ立場になったときに、自分だったらどうふるまうかを考えてみることです。

 最後の「憑依」というのは、完全に相手の気持ちになりきって、状況判断や思考ができる状態です。ここまでくると、好きにはなれなくても、少なくとも相手に対する怒りや不愉快さは低減されます。

 基本的には、意図的に嫌がらせをしているわけではなくて、ただ単に常識や価値観が違うだけなんです。悪気がないことがわかれば、「大嫌い」という負の感情を手放せますし、心理的負担がだいぶ軽くなりますよ

(本稿は、『「悩まない人」の考え方』の著者・木下勝寿氏へのインタビューをもとに構成しました)