ドナルド・トランプ米大統領は2025年春、星条旗を背にホワイトハウスのローズガーデンに立ち、自由貿易に対する戦いを宣言した。それから9カ月近くが経過したが、世界の貿易システムは約100年ぶりの高水準となった米関税によって崩壊するどころか、新たな枠組みに再構築されている。米国は中国から直接購入する量を減らしているが、ベトナムなど関税が低い地域にある中国資本の工場からの購入を増やしている。中国は実質的に他の全ての国・地域への輸出を増やしており、特に欧州向けに安価な製品を輸出している。中国政府によるレアアース(希土類)の独占的支配は、この自動車や電子機器に不可欠な原材料を生産する新たな取り組みに火をつけた。