チームのメンバーや部下とのコミュニケーションを円滑にするにはどうしたらいいのか。2万人をみてきたコンサルタント・勅使川原真衣氏は、その方策を著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』で示す。発売前から話題沸騰、坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛する同書から、内容を抜粋・再構成し特別公開する。
とにかくみんな疲れている
変革の旗振りをしている人、
結果を追い求める人、
「静かな退職」を普通に実践してますけど? という人……
今や、組織への向き合い方も多種多様です。
しかし、どんな状況・モードにある人にも共通している点があります。それは、
仕事ってこんなに疲れる?
という素朴すぎる疑念を抱いていることです。
それもそのはず、書店へ行けば、さまざまなビジネス書や自己啓発本が平積みされています。
みんな、変革や戦略が必要という前に、そもそも「疲れている」のではないか?
それはそうです。経営指南は絶えずされていますが、昨今は組織づくりについても、ああでもない、こうでもない、と盛んに言われますよね。
心理的安全性をなんとかしろ
ストレスチェック結果に沿った施策はどうなっている?
女性活躍の指標の達成はどうか?
中期経営計画があと2年だが目標まで……
ChatGPTをマスターしろ
とにかく1on1をせよ
――変えろ、変われ。今のままではダメだ。
世のコンサルだの(私もか!)、自称「できる/頭のいい」人代表である著名な経営者などは、口を開けばそう言います。
けれど、一体何をどう変えるべきなのか?
ただでさえ忙しいし、あれもこれも現状を違う・ダメなのだと否定されて、さらなる努力だ、「パワー!」と急き立てられても正直しんどい。
それだけではありません。事態はますます複雑で、昨今では「あなたはあなたのままでいい」「頑張らなくていい」「弱くていい」そんな言説まで流布してきているのですから。
この相容れない、「二大お仕事言説」--変えろ・変われ言説とゆっくり休もう言説と--が、私たちの頼みの綱になる、というより、両端から手綱を引っ張られた状態で、これまた疲労を増幅させていないでしょうか。
いじわるな言い方ですが、「変わらなくていい。あなたは悪くない」と言ってもらってホッと安心していれば職場が良くなる……のなら、今こんなに疲れていない、はずです。
話し合いで決まったことが守られないのはなぜ?
では、一念発起して組織を良くしようと話し合い、みなが納得したはずの新しいルールを定めたとします。
最初のうちは、みんなそのルールに従おうとするでしょう。でも、1週間経ち、2週間経ち、1カ月経つと……また元どおり。
「別にこの制度意味ないんだよな」
「上は下のことをわかってない」
なんて声も聞こえてくるかもしれません。
なぜそんな状況が起きるのか。
それは、お互いの目線が合っていないからです。
「とにかく何かを変えろ」と言われてやってみた、下から意見が出ないから仕方なく自分で考えた案を実行した、とにかく激務で時間がない……。もちろん、上司にも事情があります。
しかし、問題点がわからないままそれっぽい解決策を話し合っても、真に良い制度はつくれません。
上司が現場を見ず、会社の言いなりでルールを設定したと思われれば、部下の心は離れていくばかり。
そんな瀕死状態の中、まずやるべきことは「変える」ことではありません。「見る」ことです。
「観察」の3ステップ
職場の違和感を解消し、チームの力を最大限に引き出すための土台となる「観察」。それは、能動的で知的な次の3ステップから成り立ちます。
(観察の3ステップ)
ステップ① 違和感に気づく
ステップ② 複数の解釈を当ててみる
ステップ③ 対話の糸口になる仮説を立てる
「あれ?」と思ったことを自分の解釈のまま表現するのではなく、「もしかしたらこうかもしれない」という解釈があったうえで、相手に表現したときの反応を想像していく。
このとき、相手と実際に対話が進みそうな仮説を立てるのがおすすめ。自分だけの「当たり前」で考えないのがコツです。
これをやっていくと、少しずつ、それまでの自分の考えから解き放たれ、決めつけずに相手のことを見ることができるようになります。
繰り返しますが、これはスキル。つまり、トレーニングによって少しずつ上達できます。
代官山 蔦屋書店にてイベント開催!
このたび、『Googleで学んだ 圧倒的成果を出し続けるマネジャーの最優先事項』の著者・中谷公三さん、諸橋峰雄さん、水野ジュンイチロさん(元Googleマネジャー)と『組織の違和感』著者・勅使川原真衣さんとの対談イベントを開催いたします。
組織開発の現場から生まれた「違和感」を起点にした組織開発と、Googleで実践されているエンパワメント型マネジメント。
異なるアプローチを持つ著者4人の対話を通じて、マネジャーが今、本当に優先すべきことを一緒に考えていきます。
忙しいリーダーに、効果のあることだけ
発売5日で大重版!
その後たちまち、2万7千部突破!!
とっても売れてます!!!

「好き嫌い」や「やる気」、
「あうんの呼吸」に頼らず
組織を機能させるための具体策!
対話より先に、やるべきことがある。
「大丈夫です」のひとことでモヤッとしたとき、
待ちの姿勢ばかりの部下に自走してもらうにはどうしたらいいのか、
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えるための効果的な伝え方は?……
ビジネスの現場に尽きないコミュニケーションの悩みを、「マネジメント」のスキルとして、「3段階」に分けて打ち手を授けるのが本書です。
まずは土台となる「観察」のスキルを紹介。ここでは、違和感に着目するというユニークな手法をとります。
そして、「自分を知る」「相手を知る」「組み合わせる」の3段階で、関係性から組織の最適解を導き出します。
自分と相手の「持ち味」を知り、
組織をつなぎ直すための一手を
この3段階を経て、違和感を乗り越えるための伝え方や振る舞い方を具体例とともに紹介します。
スキルといっても、難しいものではありません。「あれ、今なんか変だったな」という気づきを、手がかりにつかむこと。
さらに本書では、「持ち味」を知るためのいくつかの診断も掲載。すぐにチームに実装できるような作りにしています。
事前に特別な準備や学習はまったく不要。やるべきことが明確になり、現場のもやもやがクリアになります。
いつでも「今ここ」での気づきから組織を改善できる。行き詰まった状態を打開する新鮮な方策が詰まった、忙しいリーダーの支えになる一冊です。

本書の内容
はじめに
ギリギリな組織の頼みの綱は
人それぞれが「正しさ」を生きている
「持ち味」の組み合わせと「解釈」のクセ
第1章 違和感とは何か? ―― 「決めつけ」が横行する現場で
観察の達人!? コナンくん
仕事に本音はいらない
「なんか変な感じ……」の正体
人はみな「違う色のメガネ」をかけている
「職場のすれ違い」は決めつけから生まれる
とにかくみんな疲れている
すべてのコミュニケーションの基本となる「観察」の3ステップ
第2章 「自分を知る」 ―― 違和感に気づくと「自分」がわかる
自分の本音がわからない
変えられない性質は確かにある
手がかりは「どうしてもとりつくろえない瞬間」
「わかってほしかった」は「解釈のクセ」が生み出している
「自分が知らない自分」はスマホが教えてくれる
第3章 次に、「相手を知る」 ―― 人間関係の違和感から「相性」を知る
「伝える」の前に「見る」がある
「言わなくてもわかるでしょ」はマネジメントの怠慢
相手の何を「見る」のか? ―― ソーシャルスタイルの4類型
「他者の合理性」を知るヒント
「人それぞれ」では話が進まない
第4章 そのうえで、「組み合わせる」 ―― 違和感を役立て最高の組織をつくる
「今いるメンバー」で最高のチームをつくる
「好き嫌い」より「相性」を考える
それは「評価」ではなく「評判」です
「自分でやったほうが早い病」への処方せん
「似た者同士」がうまくいくとは限らない
職場は「ドレッシング状態」にならなくていい
個人と組織のサンドイッチ作戦
第5章 違和感を乗り越えるための話し方・振る舞い方
役割の実行を後押しする「面談」「相談」「雑談」「対話」
「大丈夫です」の複雑さ
「よかれと思って」が残念なワケ
待ちの姿勢ばかりの部下に「自走してほしい」と伝えたい
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えたい
コミュ力が高い人の「真の使命」は、相手に合った手段を選ぶこと
危うい場面で役に立つ「否定しない技術」
会議時間を短縮すれば「生産性」が高まるのか?
「困っている人」は「決めつけていない人」
第6章 「いてくれてありがとね」から始める組織改革
「いい人材がいない」と嘆く人は組織の価値を見落としている
「重すぎない信頼関係」のススメ
「健全に疑う」のススメ
100点を取ってきた子どもに「偉いね」と言ってはいけない理由
100%わかり合うことは無理、それでも「訂正」し合うことはできる
「自分のまま働く」ために
解説 ―― 坂井風太