道徳的で、きちんとルールを守るのが大好きな日本人にとっては、信じられないかもしれませんが、悪い人のほうが出世しやすいということを示す研究はいくらでも見つかるのです。

優れた業績を残す人の特徴は
ウソつき・高圧的・無慈悲

 悪い人ほど、リーダーとしてもうまくいきます。

 英国セントラル・ランカシャー大学のアンドリュー・クルックシャンクは、8名のプロサッカーのマネジャーとヘッドコーチ、オリンピックチームの7名のパフォーマンス・ディレクター、合わせて15人の男性リーダーについての研究を行っています(※4)。

 彼らは、13の主要なタイトルを獲得し、33個のオリンピックのメダル獲得に貢献しているエリート・リーダーたちです。

クルックシャンクが調べたところ、何と15人全員がマキャベリズム得点が高いという傾向が確認されました。優れた業績を残しているリーダーには、ウソつきで、疑い深く、高圧的で、無慈悲といった特徴があったのです。

 リーダーは、選手や部下を動かすために、「お前は絶対に伸びる!」といいかげんなことも言ってあげなければなりませんし、自分の発言に権威性を持たせるために、内心ではまったく自信がないときにも、余裕綽々な態度を見せたりしなければなりません。

 マキャベリストでなければ、リーダーとしてはうまくやっていけないのです。
 
 やさしいだけの上司は、たしかに「いい人」なのかもしれませんが、それでは部下に言うことを聞かせることはできません。演技でもいいので鬼のように怖い上司だという印象を与えておかないと、部下を動かすのは相当に難しくなってしまいます。

 学校の先生もそうですね。

 やさしいだけの先生には、生徒は従ってくれません。授業中に少しでも私語をする生徒がいたら、すかさず「静かにしろ!」と凄んで見せないと、子どもたちは言うことを聞かなくなり、学級崩壊を起こしてしまうのではないかと思われます。

「憎まれっ子世に憚る」ということわざがありますが、現実に、悪人ほどうまくいってしまうのが残念ながら世の常というもの。

 だれに対しても親切で、決められたルールはきちんと守り、交わした約束は絶対に守ることを自分のポリシーとして生きているような「いい人」は、たしかに素晴らしい人です。しかし、こと仕事に関して言うと、もう少しずる賢く立ち回ることも覚えていかないとうまくやっていけないのです。

【参考文献】
※1 Aziz, A.  2005  Relationship between Machiavellianism scores and performance of real estate salespersons.  Psychological Reports ,96, 235-238.
※2 Turner, C. F., & Martinez, D. C.  1977  Socioeconomic achievement and the Machiavellian personality.  Sociometry ,40, 325-336.
※3 Bowles, S., Gintis, H., & Osborne, M.  2001  Incentive-enhancing preferences: Personality, behavior, and earnings.  American Economic Review ,91, 155-158.
※4 Cruickshank, A. & Collins, D.  2015  Illuminating and applying “The dark side”: Insights from elite team leaders.  Journal of Applied Sport Psychology ,27, 249-267.